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研究室の紹介
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生物は他の生物と相互作用(コミュニケーション)することで多様な進化を遂げてきました。本研究室では、生物が他の生物を認識するメカニズムを明らかにするため、最先端の遺伝子工学とエコロジーを融合した研究に取り組んでいます。害虫が植物をかじると放出される植物の活性因子(植物の香りなど)が植物と昆虫、植物と植物のコミュニケーションをいかに取り持つか?そのメカニズムの解明に挑戦しています。
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すべての生物は、染色体DNAに書き込まれたゲノム情報に従って発生し、一生を送ります。私たちの研究室では、ショウジョウバエ遺伝子工学により、ゲノム中の遺伝子の機能を網羅的に解析するとともに、ゲノムを人工的に合成するための新しい方法を開発しています。これにより、ゲノム動作原理の解明とその実験的な検証や、生物個体や細胞を利用した新しい物質生産技術の確立などを目指しています。
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地球上にはさまざまな微生物が生息し、いろいろな形でわれわれの生活に深く関わっています。本研究室では、これらの微生物機能を制御することが人間生活に役立つと考え、遺伝学や分子生物学手法を駆使して研究を進めています。また、未知微生物は数百万種ともいわれ、われわれが認識している生物種の数十倍以上と見積もられており、これらの発掘を通じて、微生物機能の開発を多面的に推進することを目指しています。
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病気の多くは体内のタンパク質が異常に働くことで引き起こされます。私たちはこのようなタンパク質分子(主として細胞表面受容体)の構造や機能を分子・原子レベルで明らかにし、より良い薬の設計につなげることを目指しています。また抗体分子に関する研究も行っており、医薬や診断薬としての応用を目指しています。
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生体を一つの調節機構と捉え、分子から細胞・組織・生体までの相互作用解明を目指します。うつ病モデルやうつ治療モデルを用いて、特に海馬と視床下部の機能探索に焦点を当てた新たな治療標的の同定を目指しています。さらに、標的とする遺伝子の発現制御を行うことで、神経機能における分子の役割の解明を行います。これにより、これまでに知られていない脳機能の制御メカニズムの一端を明らかにするとともに、精神疾患の治療分子標的の同定も試みます。
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ヒトを含むすべての生物は、植物なしでは生きていけません。本研究室では、植物が環境ストレスに応答する際に重要な遺伝子群を探索し、分子・細胞・個体レベルでの機能について研究しています。特に、脳や神経を持たない植物における、環境ストレスの認識・適応メカニズムの解明を進めています。さらに基礎的な研究成果を、作物の品質改善や生産性向上に応用すべく、環境ストレス耐性作物の開発にも取り組んでいます。
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RNAとアミノ酸の対応関係である「遺伝暗号」は、すべての生命体に共通に存在するアルゴリズムであり、生命体の本質や構成原理に関わっています。本研究室では、遺伝暗号の起源と成立原理を解明することで、生命の起源の謎に迫っています。また、触媒機能を有するRNAの開発などの、ナノテクノロジーの創出にもつながる研究も指向しています。さらに、L-アミノ酸のみが使われている生物界の非対称性の謎の研究や、遺伝暗号を利用した新規タンパク質の合成へ向けた基礎研究も行っています。
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医薬モデル生物工学はモデル生物を用いて得られた研究成果を、病気の原因解明や医薬品の開発につなげていく研究です。私たちの研究室では、人間の細胞に類似した機能を持つモデル生物である出芽酵母を用いて、医薬品の主要な標的分子であるGタンパク質共役受容体や、がん疾患の治療薬として期待されるプロトン(H+)輸送体の研究を行っています。また、病原体の排除や、ウィルス感染に関わるエンドサイトーシスの研究を行っています。
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生命現象に必須なタンパク質は、特定の形によって機能を発揮します。遺伝情報の維持伝達や小分子の代謝を行う酵素まで、様々なものが存在し、その異常はがんや遺伝病など様々な病気につながります。私達の研究室では、タンパク質の立体構造を手掛かりに、生体内での機能を明らかにします。また、プラスチックなど環境に影響を与える高分子を分解する新規酵素をデザインし、世の中に役立つタンパク質を作り出すことを目指します。
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免疫は私たちの体を感染から守るために本来備わっている機能ですが、アレルギーや自己免疫疾患、移植、がんなど、さまざまな病態と関わります。免疫応答を司る細胞たちが機能を発現する仕組みを解き明かすべく、遺伝子、分子、細胞、マウス個体、ヒト検体、と多様な視点で取り組んでいます。学生の皆さんに研究の面白さ、醍醐味を経験してもらえるよう、楽しみながらもしっかり研究していきたいと思います。
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私たち生物は常に環境から影響を受けています。動物の発生や分化は、本来生物に内在的にプログラムされているものですが、さまざまな環境要因によって微調整されたり、ときには大きく変化することがあります(悪影響としてさまざまな疾患の原因にもなります)。このような生物の発生プログラムを、環境から受ける影響を加味しながら解明することを目指しています。
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有機化学は、生命科学の発展のために不可欠な研究分野です。私たちは、医薬品やプローブ分子といった分子の開発に役立つ有機合成化学について研究しています。特に、多彩な元素の特性を活かした独自の手法を武器に、生物活性化合物の創製に役立つ反応開発やケミカルバイオロジー手法の開発などに取り組み、有機化学が持っている可能性を大きく拡げながら、生命科学研究を大きく加速する新手法の創出を目指します。