東京理科大学 TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE

理工学部 理工学研究科

2023年4月より「創域理工学部」へ名称変更

宮津 裕次准教授 MIYAZU Yuji

所属学科: 建築学科 学位: 博士(工学) 専門分野: 建築構造 研究室URL: https://miyazulab.com/ 研究者DB: https://www.tus.ac.jp/academics/teacher/p/index.php?7024

より良い木造建築を目指して

地震が頻発する日本においては、建築物は地震に対して安全であることが非常に重要です。その中でも木造建築物は、延べ床面積で考えると年間に国内で建てられる建築物の約40%を占めており、我々の生活に最も身近な建築物であると言えます。私の研究室では、木造建築物を主な対象として、地震に対する安全性向上のための制振・免震技術の開発や、構造ヘルスモニタリングに基づく振動特性分析などに取り組んでいます。

低層木造住宅に適した制振・免震技術の開発

日本で年間に建てられる住宅戸数の60%近くは木造住宅といわれています。木造住宅の耐震性能を高めることは、そこに住む人の身を守るだけでなく、その人々によって構成される社会全体を地震被害から守るためにも極めて重要です。


1995年の兵庫県南部地震では、非常に多くの木造住宅が甚大な被害を受け、それによって多くの人命が失われました。また、2016年の熊本地震では、わずか28時間の間に同じ地域で震度7の地震動が2回発生し、やはり多くの木造住宅が倒壊に見舞われました。木造住宅の耐震性能は、過去の地震被害を教訓として時代とともに向上してはいますが、一方で人知をはるかに超える自然現象は驚異であり、地震被害はいまだに無くならないのが現状です。


研究室では、「耐震対策に過剰はない」という考えを基本としつつ、一方で経済性も意識しながら、木造住宅の耐震性能向上に資する技術開発や理論構築を行っています。地震によって建物に入力されるエネルギーを効率的に吸収できる制振ダンパーの研究や、建物基礎部での滑りを活用したローコスト免震システムの研究などは、高度な実験・解析による性能検証を経て実用化もされています。いつどこで、どのように発生するのかわからない地震に対しても、安心して生活できる木造住宅を実現することを目標に、学外の研究機関や民間企業とも連携しながら日々研究に取り組んでいます。

中高層木造建築物の制振

木造建築と聞くと、寺社仏閣などの伝統的な建築物や、戸建ての木造住宅などをイメージすることが多いと思いますが、近年ではCO2排出量の削減やカーボンニュートラルといった地球環境保護に対する意識の高まりから、中層や高層の建築物にも木材を積極的に利用することが期待されています。


海外ではすでに20階を超える木造建築物が建てられており、また日本でも中層の木造オフィスや10階程度の高層木造建築物が建設されるなど、世界的に木造建築物の中高層化が進んでいます。同時に、それを支えるための研究開発や法整備もますます重要になっています。


研究室では、これまでに取り組んできた低層の木造住宅を対象とした制振技術の研究で培った実験や解析のノウハウを活用し、中高層木造建築物に適した制振技術に関する研究を進めています。また、すでに建設されている中層木造ビルにリアルタイムの振動観測システムを導入し、地震時の揺れの分析や振動特性の解明などにも取り組んでいます。

For Students

人生を通して建築を楽しむ

私の小学生の時の夢は大工になることでした。絵を描くことも好きだったので、大学では建築学科に入りました。建築学科では色々学びますが、もともとモノづくりや力学が好きだったため、卒論は建築構造の研究室で書くことにしました。研究対象は、大工への憧れが残っていたためか木造住宅とし、制振や免震といった最新技術によってその耐震性を高める研究に取り組みました。学生の時は、設計課題はそれほど好きではなく、木造の試験体を自分で作ったり、実験でそれを壊してデータを分析したりすることに喜びを感じていました。

ところで最近、自宅を建てました。デザインは前職の同僚にお願いし、私は構造の検討をしたのですが、これが学生時代の設計課題とは全く違って非常に楽しい作業でした。大学の設計課題では感じることのできなかった喜びがありました。もっと早く気づいていればと思うと同時に、建築に関わり続けていて良かったと感じました。自宅には、大学の恩師が考案し私も開発に携わった制振ダンパーを自分の手で取りつけました。その瞬間は、学生の時から取り組んできた研究が、製品として実用化されて、設計に活かされ、いま自分の家に自分で施工しているということに、強く感動しました。

これからも建築を続けていけば、きっとまた新たな発見があり、喜びがあり、感動があると確信しています。十人いれば十人の楽しみ方が建築にはあるのだと思います。私は私の人生を通して、建築の楽しさを見つけていきたいと思っています。

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