物理の理解をイノベーションへ
物理工学は、物理学とテクノロジーの橋渡しをする分野です。物理工学科では、物質の性質を探究する「物質科学分野」、複雑現象を解析する「複雑科学分野」、エネルギーに関連する現象に取り組む「エネルギー科学分野」、ナノの視点からデバイス創成を目指す「ナノデバイス分野」という4つの分野からのアプローチで、研究分野を開拓しています。それぞれの専門分野でのエキスパートが協力しあうことで、幅広い視点で社会を見つめながら、イノベーション創出を目指した研究に取り組んでいます。
あらゆる現象はエネルギーの貯蔵・輸送・変換として分類することができます。これらの現象を物理的な視点から理解し、新しい応用を創出していくことはサスティナブルな未来を実現するための重要な課題。量子コンピュータや高速通信システムの核となる「高温超伝導」や、身の回りにある振動や熱からエネルギーを収穫して電気エネルギーに変換する「エネルギーハーベスティング」など、新しいエネルギー分野の開拓を進めています。
電子や分子、イオン等の微粒子はナノ空間やナノ周期構造中に置かれると量子力学的な効果が顕在化し(ナノメートル=10 億分の1 メートル)、特異な挙動を示すようになります。このため、私たちに馴染みのある物質もナノサイズにすると全く異なる性質を示します。ナノデバイス分野では半導体プロセスや自己集積化現象を利用して原子や分子レベルで領域をデザインすることで、マクロな世界では実現し得ない省電力性に優れた極小スケールの高機能次世代メモリや、エネルギー素子、新しい機能を持つ極小デバイスの研究開発を進めます。