研究内容

高分子化学,液晶,光化学を基軸として,機能性材料の研究を行なっています。新機能の発現,高性能化を目指し,低分子や高分子の分子設計・合成から物性評価まで一貫して行います。最近は,機能材料として光応答性材料,液晶性材料,撥水撥油性材料の創製を目指していますが,次世代材料に繋がる材料も探索しています。

(1)液晶性ビオロゲンの研究

 一般的なビオロゲンでは,電界印加によって可逆的な二段階のレドックス反応が誘起され,それに伴って色が変化します。このようなビオロゲンのエレクトロクロミズムや電子受容性は,様々な機能性材料への応用が期待されています。また,ビオロゲンは,その分子周囲の環境によって,光照射によってもジカチオンからラジカルカチオンへの一電子還元反応が進行することがあります。私たちの研究室では,このような電界応答性や光応答性を示すビオロゲンに,さらに液晶性を付与することで多機能な応答性化合物を開発し,ビオロゲンの光化学反応をトリガーとした光記録材料の創製を目指しています。

関連する成果:”Molecular design of viologens to exhibit low-order liquid-crystalline phases”, Satoshi Arai, Yusuke Ohgi, Minami Takahashi, Khoa V. Le, Takeo Sasaki, Yumiko Naka*, 2022, 3, 2131-2138. DOI: 10.1039/d1ma01126j.
“Photo-induced change in alignment of mesogens using reduction of viologens as a trigger”, Satoshi Arai, Mikihiro Kawahara, Khoa V. Le, Takeo Sasaki, Yumiko Naka*, DOI: 10.1080/15421406.2022.2117940.

(2)規則性の高い多孔質フィルム作製を目指した高分子の研究

 Breath figure法と呼ばれる方法で高分子フィルムを作製すると,右図に示すようなポーラス構造がフィルム表面に形成されます。表面に規則的な凹凸構造を形成させると,表面構造に由来した表面物性の変化が起こるため,様々な分野への応用展開が期待されています。このBreath figure法では,有機溶媒の蒸発によって生成された水滴を鋳型として,自発的にフィルム表面に規則的なポーラス構造が形成されるため,作製方法は極めて簡単ですが,ポーラス構造の形成メカニズムは複雑です。規則性を向上させるためには、メカニズムを理解し,高分子に求められる性質を知る必要があります。本研究では,高分子構造やモノマーの化学構造,高分子の局所的化学構造などに着目した化学的アプローチでポーラス構造の規則性向上,複雑な表面形状の作製を目指しています。

Breath figure法で作製したフィルムの光学顕微鏡写真

関連する成果:“Molecular Design for Preparation of Hexagonal-Ordered Porous Films Based on Side-Chain-Type Liquid-Crystalline Star Polymer” Yumiko Naka*, Hiromu Takayama, Teruhisa Koyama, Khoa Van Le, Takeo Sasaki, Langmuir (2018) 34(21), 6210-6216, DOI:10.1021/acs.langmuir.8b01104.
“Role of each part of cyanobiphenyl-containing polymers in porous-film preparation by using the breath-figure method”, Yumiko Naka, Lisa Nagashima, Hiromu Takayama, Khoa Van Le, Takeo Sasaki, Liq. Cryst. (2020), 47, 1139-1144. DOI: 10.1080/02678292.2019.1662113

研究室装置の使い方

偏光顕微鏡,顕微鏡用温調機,DSC,GPC,バーコーター,スピンコーター,紫外可視吸収分光装置,瞬間マルチ測光システム,水銀灯,高圧ボンベ,真空オーブン,型抜き機,冷却機,・・・

研究室配属を希望する学生へ

研究室配属を希望する方は,是非、研究室見学にお越しください。
基本的には、現在、研究室に所属している学生が、研究内容等を説明します。
教員と直接話してみたい方、相談したい事がある方は、その旨をご連絡ください。

所属学生による説明を希望する方は、月曜日午前と火曜日13時~16時を除く平日10時~17時の間から希望日時を決め,中(naka[at]rs.tus.ac.jp) までご連絡ください。

教員と話したい方は、希望日時(1回 30分~1時間程度)を第3希望までお知らせください。予定調整させていただきます。
それでは、お待ちしております。
※[at]は@へ変換してご連絡ください。

お知らせ

本学校友会 理窓会の会報「理窓 (2023年5月号)」の表紙に中研卒業生の写真が掲載されました。
卒業証書授与式が行われます。
(OB主催)新井君の卒業祝い
10時~11時11-1教室 新井智君の公聴会が行われました。
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