2024.06.27 談話会

講演者髙津大樹氏(東京理科大学)
題目K3曲面の自己同型群とその実質的コホモロジー次元について
日時2024年6月27日(木) 16:30~17:30
場所東京理科大学野田キャンパス4号館3階数理科学科セミナー室
概要2次元コンパクト複素多様体で、標準束が自明かつ不正則数が0のものをK3曲面という。
一般にK3曲面の自己同型群は非可換無限群になる。
その有限部分群や有限位数の自己同型については古くから調べられているが、
自己同型群が無限群の場合の分類や不変量計算に関する研究は少ない。
一方で向井茂氏により、楕円的K3曲面の自己同型群の実質的コホモロジー次元がそのMordell-Weil群の階数の最大と一致する、という予想が提唱されている。

K3曲面の自己同型群は2次のコホモロジー格子への作用から自然に双曲空間へ作用する。
本講演では、この作用を介して向井氏の予想が幾何群論的な問題として捉えられることを説明したい。
特に、自己同型群の実質的コホモロジー次元がK3曲面のブローアップ境界の位相次元から決定されるという結果について解説する。この結果を用いてBaragarのK3曲面が向井氏の予想を満たすことも示せるので、Baragarの例についても紹介したい。
共催先端的代数学融合研究部門 野田代数セミナー,MaSCE Seminar
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