講演者 | 臺信直人氏(慶應大学) |
題目 | 楕円曲線のp進L関数とp等分体のイデアル類群のGalois加群構造について |
日時 | 2024年10月9日(水) 16:30~17:30 |
場所 | 東京理科大学野田キャンパス4号館3階数理科学科セミナー室 |
概要 | 円分体の整数論における重要な結果の一つに、Herbrand-Ribetの結果がある。それは、Riemann ゼータ関数と、円のp分体のイデアル類群のGalois加群としての構造とが深く関わり合っていることを主張する。 一方で、楕円曲線に対し、その等分体と呼ばれる円分体に類似した代数体が定まる。Eを有理数体Q上定義された楕円曲線とし、pを素数とする。 EのQ上のp等分体は、QにEのpねじれ点の座標を全て添加した代数体として定義される。Herbrand-Ribetの結果を鑑みると、p等分体のイデアル類群のGalois加群構造が整数論的な興味の対象になる。 p等分体はほとんどの場合にQの非abel拡大であり、この種の非abel拡大のイデアル類群をGalois加群として考察した研究は少ない。 その中でもPrasadとShekharによる研究では、いくつかの条件の下で、楕円曲線のHasse-Weil L関数と、p等分体のイデアル類群のGalois加群構造との間にHerbrand-Ribetの結果に類似した関係を発見している。 本講演では、楕円曲線の解析的階数が1の場合に、楕円曲線の円分p進L関数と、p等分体のイデアル類群のGalois加群構造との間に新たな関係が見出せたことを報告する。 この関係は、PrasadとShekharが発見したHasse-Weil L関数とイデアル類群との関係を部分的に含み、その改良を与える。 さらに、基礎体がQでなく虚二次体の場合には、楕円曲線の反円分p進L関数とp等分体のイデアル類群との間に新しい関係が得られたことも紹介する。 |
共催 | 先端的代数学融合研究部門 野田代数セミナー,MaSCE Seminar |
