2024.11.18談話会

講演者氏名池畠良氏(広島大学)
講演題目「波動方程式の\(L^{2}\)-増大評価と関連する話題」
日時2024年11月18日(月) 16:30~17:30
場所東京理科大学野田キャンパス4号館3階数理科学科セミナー室
概要波動方程式$u_{tt}-\Delta u = 0$の初期値問題を空間1,2次元で考察する。ただし, $u=u(t,x)$, $u_{tt} = \frac{\partial^{2}u}{\partial t^{2}}$, $\Delta := \sum_{j=1}^{n}\frac{\partial^{2}}{\partial x_{j}^{2}}$ ($n$は空間次元を表す)。 まずは導入として2003年位から細々と研究し続けてきた局所エネルギー減衰評価式を得る際に, 初期値のサポートのサイズに依らない評価を得る工夫において
如何に解自身の$L^{2}$-有界性が本質的かを注意する。ちなみに, C. Morawetz による空間$3$次元での先行研究においては, 初期値のサポートのコンパクト性が本質的に効いていたことを指摘しておく。次に, そういう$L^{2}$-有界性を低次元で実行しようとするとHardy型不等式の欠如による困難に出会う。従って, 低次元での局所エネルギー減衰問題は本質的に難しい。講演者は最近局所エネルギーの減衰問題に関連して, そういう解の$L^{2}$-“有界性”を導出・研究を行う過程で, 思いもかけず解自身の最良$L^{2}$-“増大”評価式を得る幸運に恵まれた。”最良”とは上からと下からの(十分大きい)時間についての同じオーダーでの評価を意味する。その結果について報告する予定である。時間が許せば, 証明のアウトラインについても言及する。 こういう低次元での増大評価は他の様々な振動を伴う方程式でも最近頻繁に研究・確認されていることも指摘しておく。
備考 共催:東京理科大学総合研究院数理解析連携研究部門
共催:創域の芽プロジェクト「数理科学科ダブルラボの継続的な発展」
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