2025.10.22 談話会

講演者大沢 健夫氏(名古屋大学)
題目関数論の妙所と最近の展開について
日時2025年10月22日(水)16:30–17:30
場所東京理科大学野田キャンパス4号館3階数理科学科セミナー室
概要複素数の導入によって数学の世界は大きく広がり、19世紀には数と図形の間に成立する対称性の関係が複素数を用いることによって明確に記述できるようになった。コーシーが拓いた複素関数論の中で、アーベルは楕円関数を発見した。リーマンにより1851年に導入されたリーマン面の概念により複素一変数代数関数論が基礎付けられ、整数論の大問題であったフェルマー予想の解決もその延長上にある。リーマン面の概念を一般化した高次元の図形が複素多様体である。その理論の重要性は20世紀初頭には認識され、基本的な問題が岡潔によって解決されたあと、20世紀後半には小平邦彦たちによって完成度の高い理論へとまとめられた。その展開の中で、岡潔が著書「紫の火花」の中で「解けなかった二題」と記した問題がある。それに関連する今世紀に入ってからの展開について述べたい。
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