| 講演者: | 三沢 正史 氏(熊本大学) |
| 題目: | ソボレフ臨界型熱流の体積エネルギー集中について |
| 日時: | 2026 年10 月30 日(金) 16:30~17:30 |
| 場所: | 東京理科大学野田キャンパス 4 号館 3 階 数理科学科セミナー室 |
| 概要: | ユークリッド空間の滑らかな境界をもつ有界領域を底とする空間時間シリンダー領域上ある二重非線形放物型方程式に対する初期値境界値問題を考える. 初期値はエネルギー有限な非負有界関数でその境界値は零とする. 零境界条件を課す. この方程式は時間1階微分項と空間2階微分項に解の冪非線形をもつ非線形放物型(熱型)方程式である. 空間2階微分項は解の空間微分の冪非線形でありp-調和作用素と呼ばれる(p=2 の場合には通常の調和作用素). 2種類の冪非線形の指数はソボレフ臨界型とする(この臨界性はソボレフ不等式の積分指数によって定まる). ソボレフ臨界型のもと, 方程式は速い拡散型となり, 解を有限時間で消滅させる効果をもつ. しかし, ここでは, 解のある積分量(体積)が1である制限条件(体積条件)を満たす解を考えたい. この制限条件のため解は有限時間では消滅できない. 体積条件によって方程式は時間微分項と同じ解の冪非線形項をもつ. この方程式から空間2階微分項を取り去ると, 同じ解の冪非線形をもつ一階常微分方程式(ODE)となり, これは解を正値有界にする効果をもつ. 一方で, この非線形方程式は, 体積=1の体積条件のもとエネルギー(空間一階微分の空間領域上 p-乗積分)を最小化する条件付き極値問題の勾配流(エネルギーが最急降下する軌道)である. この変分構造によって, 方程式の解は時間変数を無限大にするとき対応する定常解に収束する. 条件付き極値問題に対する勾配流を記述する, 体積条件付きの二重非線形放物型方程の解の構成およびその漸近挙動について結果を述べたい. 考える解はエネルギー有限な関数空間(ソボレフ空間)に属する弱解である. 弱解の大域存在を示す. この弱解は上記ODE効果によって非負有界となる. さらに体積条件のもと正値となる(正値性伝播あるいは, いわゆるハルナック型不等式). これによって弱解は空間一階導関数とともに空間時間連続となる. 弱解の時間無限大での極限関数の特徴付けを示す. 極限関数は, 定義域上の定常解と(高々)有限個の体積エネルギー集中で記述される. とくに体積エネルギー集中点周りの解の挙動は全空間上の特殊定常解によって記述される. この全空間上特殊定常解はエネルギーと体積との定量的関係(ソボレフ不等式)の最良定数を達成する関数である. 以上の漸近挙動を示すために解の(局所)有界性評価を構成する. 時間が許せば, 速い拡散型方程式の有限時間消滅への応用についても考える. この研究は部分的にTuomo Kuusi教授(University of Helsinki, Finland)と中村謙太氏(日本大学学術研究員)との共同研究に基づく 参考文献: T. Kuusi, M. Misawa, K. Nakamura: J. Geom. Anal. 30 no.2 (2020); J. Differ. Eq. 279 (2021); M. Misawa, K. Nakamura: Adv. Calc. Var. (2021); J. Geom. Anal. 33 no.1: 33 (2023); M. Misawa, K. Nakamura, Md Abu Hanif Sarkar: Nonlinear Differ. Eqn. Appl. 30 no.3: 43 (2023); M. Misawa: Calc. Var. 62 (2023), no. 9: 265; M. Misawa, Y. Yamaura: Math. Annalen (2025); T. Kuusi, M. Misawa, K. Nakamura: submitted |
| 備考: |
Department of Mathematics
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