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東京理科大学 総合研究院 パラレル脳センシング技術研究部門
Parallel Brain Interaction Sensing Division

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Overview 部門の概要

パラレル脳センシング技術研究部門の概要

研究内容

脳と神経情報・システムの研究開発基盤~複数個体間の脳や個体内のいわゆるもう一つの脳との相互作用の機序解明をめざします~

目的

これまで単一個体を研究対象としていた脳研究や技術開発を脱却し、複数個体の脳を対象とすることにより、新たなセンシング技術の研究開発から集団形成プロセスや脳間ダイナミックスのモデル化をめざします。

今後の展開

多次元・多軸の研究者の共通言語を見つけるために公開セミナー・勉強会を多数開催することで,若手・学生の育成とともに研究者の融合を目指します.

部門長の言葉

本部門は、脳と神経情報・システムに関する学内の多次元・多軸の専門技術・情報を集中し、学外の関連研究者とも連携して多分野融合型の研究開発基盤を構築することで、複数個体の脳活動の協調や集団形成プロセスにおいてどのように相互作用するかを明らかにする理科大発の革新的学問分野『パラレル脳』の創出を目指します。

脳神経科学の背景

脳神経科学は、21世紀に飛躍的な発展が期待されている生命科学分野です。脳の健康を保持することにより高齢化社会における生活の質(QOL)の向上が見込めること、さらには脳で行われる情報処理の仕組みを応用することで革新的な情報通信技術(ICT)の創出が見込まれることから、社会・産業界からも熱い視線が送られている分野でもあります。

脳の健康、心の健康

わたしたちの心や行動を制御する脳は、ヒトが人らしい生活をするためにはなくてはならない組織です。しかし、人はライフステージで様々な脳の健康障害に直面します。脳の発達障害は自閉症スペクトラム障害の原因となり、統合失調症のリスクにもつながります。現代のストレス社会では、誰もがうつ病やストレス障害に陥るリスクに曝されています。そして、深刻化する高齢化はアルツハイマー病をはじめとする認知症の増加問題を抱えています。脳の健康、心の健康の障害は個人のQOLの損失に直結する国民健康上の大きな問題です。また、患者家族の負担と経済的損失にもつながる社会的にも重大問題です。

脳の情報処理

一方、脳は超並列で高速演算する高度なアナログコンピュータとして注目されています。小型でかつ超省エネ(消費電力量10~30W)でありながら、スーパーコンピュータ京(990万W)に匹敵する情報処理を実行することができます。脳からヒントを得たコンピューター(Brain-inspired computer)や脳と機械のインターフェース(Brain-machine interface, BMI)を活用した技術開発などが実際に進められています。しかしながら、脳の認知システムや計算アルゴリズムは完全には解明されていません。

パラレル脳センシング技術研究部門がめざすもの

本部門は、複数個体の脳活動が集団形成プロセスにおいてどのように相互作用するかを明らかにすることによって、集団形成を支援し多様な個性が協働共生できる社会を目指して結集しました。これまで単一個体を研究対象としていた脳研究や技術開発を脱却し、複数個体の脳を対象とすることにより、集団形成プロセスや相互作用を明らかにする新しい学問分野『パラレル脳』を創生します。マウスやヒトを対象とした脳研究手法によって集団を形成する複数の個体の脳を同期(パラレル)計測し、脳研究の知見に根差した生体情報のセンシングや再現する技術を本学ならではの学際分野から提案することで、オンライン空間での集団形成や共生の支援も可能となります。さらに、共通したセンシング技術をマウス実験とヒト実験とで利用することにより、社会性動物に共通した複数の脳の間でおこる相互作用を数理モデルにより記述し理論的な背景の構築をめざします。

動物実験班(マウス・ヒト)

認知に着目した脳の健康と疾患(悲観的認知の特徴があるうつ病、認知や記憶機能が低下する老人性認知症、社会的認知とコミュニケーションに障害がみられる自閉症など)について、分子、神経回路からモデル動物までの多次元研究を遂行し、関連メカニズムを解明し、改善薬や診断薬のシーズ創出をめざします。

センシング班

発達障害等における視線行動や生理指標に着目した性格特性について、脳機能障害の解析や評価の多次元研究を遂行し、関連する計測技術やアシスト装置の創出をめざします.

数理モデル班

ヒトの視知覚に着目した脳内情報処理について、脳機能イメージング、認知心理実験、脳型アルゴリズムなどの多次元研究を遂行し、情報処理システムの解明とモデルや理論の構築をめざします。

当部門との共同研究・連携研究などのご提案を歓迎いたします