大村研究室

研究室概要

音楽を中心に人間の創造性や認知活動などに焦点を当て研究を行っています。音楽は作り手から聴き手への伝達される情報です。音楽をなぜ楽しめるのか、どのようにして作れるのかについて情報科学の視点から研究を行っています。

教員

大村 英史 講師

■ 出身大学:2002年 東京農工大学 工学部 機械システム工学科 卒業
■ 出身大学院:2009年 東京工業大学 総合理工学研究科 知能システム科学専攻 博士課程 修了

■ 取得学位:東京工業大学 博士(工学) 課程

■ 研究職歴:
・2004-2005 ヤマハ株式会社 事業開発本部 アドバンストシステム開発センター Music & Humanインターフェースグループ
・2009-2009 東京工業大学 特別研究員
・2009-2014 独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター 情動情報連携研究チーム 客員研究員
・2009-2014 独立行政法人科学技術振興機構 ERATO 岡ノ谷情動情報プロジェクト 研究員
・2014-2015 東京工芸大学工学部 客員研究員
・2014-2015 独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部 流動研究員

■ 研究キーワード:音楽情報科学, 人工知能

研究内容

音楽と非音楽の境界

時計の音は音楽でしょうか、雨の音や、森の中で聞こえる音は音楽でしょうか。普通音楽とはいいません。しかし、これらの音を音楽と捉え音楽に取り入れることは出来ます。現代はそうした実験的な音楽が創られてきました。一方で、音楽の理論は数学と表裏一体の関係を持っています。例えば、音楽の大切な要素の一つが音程です。音程は数学的な関係の比で構成されます。1:2の周波数比の音はオクターブ、2:3の周波数比は完全五度、3:4なら完全四度と呼ばれる音程です。これをベース12音が決定されに和音が構成されます。私たちは、数学的にシンプルな関係の音を聴くと、近い関係の音であると感じるのです。音の高さだけでなく、拍子の関係も同様です。この関係を用いて二次元の空間に音を表現し、関係の近い音と遠い音の出現確率を制御できるシステムを作成しました。正規分布のパラメーターを操作することで,確実にイベントが生じる状態から不確実にイベントが生じる状態を創り出します.つまり,このシステムは、時計の音のような定期的な音が出現するサウンドから、森の中の音のようにいつどのような音が鳴るかわからないサウンドを出力することができます。そして、その中間で、まるで音楽のようなサウンドを出力することもできます.このシステムは、音楽と非音楽が連続的であることがわかります。そして、心地よい場所を探すと、その音楽の境界は人や時によって自由に動いているのがわかります。