2026.06.03 修了生が紹介するMOTの講義
基盤科目『技術経営入門』(岸本太一准教授)|第7回前半:技術経営入門 ~技術・経営・オペレーションのダイナミクス~
【2026年春学期】

「技術経営入門」は、MOTの全専任教員とゼミ担当教員が担当するオムニバス形式の授業である。その形式の関係上、各教員の講義スタイルを紹介する場にもなっている。 岸本先生(※1,※2)の授業は、事前に受講生にレポートやメモを提出してもらい、当日の講義ではそれらのメモを題材に先生のファシリテートの下、全員で議論を行う点が特徴となっている。今回も理論テキストを事前に読み、それを基に「疑問メモ(=理論テキストの中で理解や納得ができなかった点を疑問形式で記載するメモ)」か「当てはめメモ(=理論の内容を現実の事例に当てはめる形で行った分析を記載するメモ)」のいずれかを作成するという事前課題が課せられていた。理論テキストのテーマは「技術・経営・オペレーション・革新の関係」である。

授業では、受講生が作成してきた「当てはめメモ」を題材にした議論が、後半に行われていた。とり上げられた二つのメモは、対照的なものであった。一つは、新たな設計ツールという新技術の導入が、適切なマネジメントの手配りによって、短納期やコストの半減、多機種の同時開発の実現といった、オペレーションの革新に繋がった成功事例であった。その一方で、もう一つのメモは、パンデミック時にリモート業務に関するデジタル新技術を導入した事例であり、こちらはマネジメントの手配りが悪く、結果的にはオペレーションの混乱と改悪に繋がってしまった、という内容だった。
いずれのメモも、職場の中心にいる「現役のマネージャー」が受講生として通うMOT生だからこそ書ける生々しい内容であり、活発な議論が行われていた。また議論後には、岸本先生が、事例を一般化したまとめとして、「技術と経営と現場のオペレーションは、独立ではなく密接に関連していること」、「それらの3点の連鎖が、うまく回るか否かが、新技術の導入がオペレーションの改善に繋がるか、改悪に繋がるかを分けること」、そして、「その連鎖の巧拙の鍵は、マネジメントの手配りにあること」を、受講生に伝えていた。
使われた「メモ」は秀逸で、それを活かした先生の授業も、在学中の授業に比べクオリティが高くなっている様に感じた。
執筆:2019年度終了生(元製造業顧問)
※1 岸本太一准教授;https://dept.tus.ac.jp/mot/facuity/taichikishimoto/
※2 岸本太一HP:https://www.taichikishimoto.work/















