学部長挨拶
最近、わくわくする瞬間はありますか。
私が科学の道を志したのは、子どもの頃に夢中になって観ていたSFアニメや映画の中で活躍する科学者たちに憧れたことが大きなきっかけでした。新しい仕組みを考え、形にしていくことが好きで、今も学生とともに研究・教育活動に取り組みながら、その楽しさを日々実感しています。
理学における研究の使命のひとつは、「新しくて面白いことを見つけること」です。すぐに役立つかどうかは分からなくても、大学ではルールに従いながら、純粋な知的好奇心に従って挑戦することが許されていますし、むしろ奨励されています。「面白いことをやりたい」という気持ちを存分に伸ばせるのが大学なのです。
理学部第二部(以下、理二)は、理科大創設当初の姿を色濃く残す伝統的な学部であると同時に、非常にユニークな存在です。その創設の物語は映画化してもよいほどドラマティックで、詳しくは馬場錬成著『物理学校』(中公新書ラクレ)に記されています。理二の特徴をひと言で表せば、「理科好きのあなたが本当に面白いと思うことに挑戦できる場所」であるということです。
授業は夕方から始まるため、平日の日中を自分のスタイルに合わせて活用できます。就労やボランティア活動、趣味の追究や自主研究など、可能性は広がります。施設やサービスを昼間に活用するメリットも大きく、キャンパスは都心の利便性に優れた立地にあります。
また、理二の学生は昼間学部と同じ教育リソースを利用できます。理科大は理系総合大学として、理系分野の図書やオンラインジャーナルが非常に充実しており、多数の検索データベースや数学・情報・化学・生物系の各種ソフトウェアも大学契約で利用可能です。これらの環境は他大学からもしばしば羨ましがられるほど恵まれています。
近年は生成AIをはじめとするAI技術の発展が著しく、専門外のことを調べるハードルは急速に下がっています。とはいえ、AIを有効に活用するには「やりたいこと」が出発点であり、その基盤となる基礎知識や幅広い教養が欠かせません。こうした素養を持つ人がAIを使いこなしたとき、成果の差は大きく広がるでしょう。理科大では全学的に情報教育の機会を設けており、理二の学生も「データサイエンス教育プログラム」などを受講できます。
自分の「やりたいこと」を見つけ、それに本気で取り組んでみたい方にとって、理二は最適の場です。学びの環境、自由に使える時間、そして経済的にも学びやすい制度が整った理二で、未来へ向けた第一歩を踏み出してみませんか。
学科構成
理学部第二部は上記3学科で構成されており、全て1学年120名の定員で運営しています。
また、学科・研究・事務室紹介のページにあるように、学部には教養に所属し、教養科目教育を担当している先生方もおられます。
入学から卒業までにかかる費用(2024年度)
| 入学金 | 授業料
(1年分) |
施設設備費
(1年分) |
実験実習費 | その他 | 入学から卒業までに
かかる費用概算 (卒業研究費は含まず) |
||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 理学部第二部 | 数学科 | 150,000円 | 670,000円 | 160,000円 | -*1 | 46,920円*2 | 3,516,920円 |
| 物理学科 | 719,000円 | 3,712,920円 | |||||
| 化学科 | 730,000円 | 3,756,920円 | |||||
参考資料
| 入学金 | 授業料
(1年分) |
施設設備費
(1年分) |
実験実習費 | その他 | 入学から卒業までに
かかる費用概算 (卒業研究費は含まず) |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| 国立大学*3 | 282,000円 | 535,800円 | - | -*4 | -*4 | 2,425,200円 |
| 私立大学理科系学部*5 | 251,029円 | 1,136,074円 | 177,159円 | -*4 *6 | -*4 *6 | 5,511,961円 |
理学部第二部各学科の卒業研究費
| 数学科 | 卒業研究 | 0円 |
|---|---|---|
| 物理学科
(Aは必修、Bは選択必修) |
卒業研究(A) | 0円 |
| 卒業研究(B)・実験系 | 31,000円 | |
| 卒業研究(B)・理論系 | 8,000円 | |
| 化学科
(右のA、B、Cから1つを選択) |
卒業研究(A) | 16,000円 |
| 卒業研究(B) | 51,000円 | |
| 卒業研究(C) | 0円 |
- *1東京理科大学では、実験実習費は授業料に含まれている
- *2その他は、父母会費(こうよう会)、学生障害共済補償費の合計額
- *3文部科学省令による標準額
- *4大学、学部によっては徴収する場合あり
- *5令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
- *6データは発表されていません
理学部第二部の各学科の入学から卒業に至るまでにかかる費用の概算です(教科書や参考書代はここには含まれていません)。学費、施設設備費は半期単位での納入が可能です。この他に他学科実験等を履修する場合、選択科目の実験実習費が必要になったり、授業料が改訂になったりすることもあります。そのため、あくまでもおおよその目安として考えてください。なお、学科によって授業料が異なっているのは、実験実習費が授業料に含まれているためです。
沿革
| 1881年 | 東京大学出身の20才から29才の若き理学士21名が、東京都麹町区飯田町の稚松小学校を借りて「東京物理学講習所」を創立。理学普及の志に燃える同志たちは、昼は仕事を持ち夜間に無給で講義を行った。
入学試験は行わず希望者を全て入学させたが、卒業に要する条件は厳しかった。「門戸は広く開けても、卒業は厳しい」という東京理科大の伝統は、創立当初から今日まで引き継がれてきたものである。東京物理学講習所の始まりが夜間教育だったことは、理学部第二部が理科大の歴史そのものであると言われる由縁である。 |
|---|---|
| 1882年 | 東京都神田区今川小路に、同志たちがポケットマネーを出し合い、自前の校舎を建築。 |
| 1883年 | 「東京物理学校」に改称。東京大学仏語物理学科を主席で卒業し、5年間のフランス留学を終えた寺尾寿が初代校長に就任。寺尾は帰国後、東京大学で天文学と数学の講師となり、翌1884年には28才で教授に昇格している。 |
| 1884年 | 今川小路校舎が台風により倒壊。以後3年間に5回校舎を転々とする。 |
| 1888年 | 神田小川町の仏文会校舎を買い取る。当初、20名の学生から始まった物理学校は、この時303名の学生を擁するまでになっていた。また、東京職工学校(現東京工業大学)の予備校となるための学科カリキュラムを作り、社会人や国公立大学入学を希望する若い人材に、広く理学を教える学校として機能。 |
| 1893年 | 日本初の物理学の教科書「普通物理学教科書」全3巻を、物理学校維持同盟16名により刊行。 |
| 1906年 | 神楽坂に新校舎建築。これまでの理数教員養成に関する高い評価から、東京物理学校は各種学校であったにもかかわらず、卒業生は文部省の中等教員検定試験を受験する資格を与えられる。当時理学教育者養成は、理学普及にとって最重要事項の一つであったが、現在も教育者の育成は、理学部第二部にとっても大きな使命として受け継がれている。 |
| 1916年 | 卒業生の小倉金之助氏が東北帝国大学で博士号の学位を取得し、物理学校卒業生初の理学博士が誕生する。 |
| 1917年 | 専門学校認可が出て、専門学校・東京物理学校となる。 |
| 1923年 | 関東大震災により、神田から銀座方面まではほぼ全壊であったが、物理学校校舎は大きな被害を免れた。 |
| 1931年 | 実力主義を唱え続けて迎えた創立50周年。理学教育機関として、揺るぎない地位を確立。 |
| 1949年 | 学制改革により「東京理科大学」となり、理学部第一部、理学部第二部からなる、日本最初の理工系単科大学が誕生。本多光太郎が初代学長となる。 |
以降、東京理科大学は、8学部33学科、11研究科31専攻を擁するまでに発展。理学部第二部は現在、東京理科大学としての設立当初より理学部第一部と密な協力体制を取りながら、理数系教員をはじめ優れた人材を数多く輩出している、日本で唯一の夜間理学部となっています。



































