理二を卒業・大学院を修了して大手銀行に勤務
- OB・OG
- 瀬戸龍太郎さん(平成29年3月大学院理学研究科数学専攻修了,平成27年3月理学部第二部数学科卒業)
【自己紹介】
こんにちは!瀬戸龍太郎と申します。私は2011年に理学部第二部数学科に入学し卒業後、2015年から2年間大学院の理学研究科数学専攻で佐藤先生の指導のもと修士号を取得しました。この人はなぜ数学科で院まで行って銀行なんだろうか?と思う方も多いと思いますが、大学から今に至る経緯などいろいろお話しさせて頂きたいと思います。
【理学部第二部との出会い】
中学時代に物理学の本を読んで理論物理に興味を持ち、理論物理学者になりたいと思うようになりました。
高校に進学をして、物理を学んでいくと、議論が曖昧に進んでいくことがあり、納得できないことがありました。高校2年生のとき、ある予備校で夏期講習を受けていたのですが、その数学の授業が大変印象的でした。というのも、中学高校で習ってきた数学を厳密に定義付けし、その上で理論が一つずつ納得したうえで展開されることを体得することが出来たからです。 「物理よりも数学の方が面白いな」と思い、数学を学ぼうと決意しました。結局、いくつかの大学に合格しましたが、学費が国立大学並みで昼間の時間を利用して学費の一部を稼げるという点で理学部第二部に進学を決めました。
【学部在学中】
「夜間学部とはどういうところだろうか。友達はできるのか。」といった思いがありましたが、入学してみると、私と同じ世代の学生が多く、サークルや部活動が盛んに行われていました。「意外と普通の大学なんだな。」と思いました。しかしながら、社会人学生の方も一定数在学しており、多様な価値観のなかで理学を学ぶこともできます。理学部第二部は他の学部では経験できないことができる、名実ともに唯一無二の学部だといえます。また、学生の中には、昼間の時間を利用しアルバイトをして、すべての学費を稼ぎながら、数学を学びたいという思いを叶えている方もいらっしゃいました。様々な境遇の方が集って数学を学んでいる環境である、理学部第二部は懐が広いなと感じていました。
勉学についてですが、着実に講義を理解して学んだ数学を使いこなすことができれば、関門科目も通過できるかと思います。また、理学部第二部には、代数・解析・幾何・統計・数学教育といった幅広い数学の分野の講義・研究室が用意されており、自分の好きな科目を学ぶことができます。とはいえ、大学院進学に必要な知識を習得するため、自分で参考書を選んで自ら進んで勉強することが必要でした。
【大学院在学中】
位相幾何学に興味を持ち、数学者になりたいという思いから大学院進学を決めました。そして、学部4年のときから修士課程まで、曲面の写像類群について学びました。大学院に進学すると、読む学術書のレベルが格段に上がり読みこなすのにだいぶ苦労しました。とはいっても、難しい問題でも、具体例を考えて遊んでみたり、他の本を読み漁ったりして、1、2週間ほど粘って考えてみると、「なんだこんな簡単だったことだったのか」と理解する。という連続で、自身の研究が始まっても同じでした。まるで匍匐前進のような進み方ではありましたが、結果として修士論文をまとめ上げ、多くの先生からお褒めいただいたときはうれしかったです。
【就職活動】
大学院進学当時は大学に残って数学者になることを希望していましたが、自分の適性等を考えて、多くの企業と関わりあえる金融機関へ大学院卒での就職を希望しました。就職活動中に感じたことは、学部問わず理科大生という括りで企業は認識していると思いました。つまり、学部はどうあれ「理科大生は真面目で、数字に強くて、英語が苦手?」という先入観を持っています。その先入観をうまく利用するという意味では、真面目に過ごしてきた学生にとっては、就職活動を優位に進めることができると思います。つまりは、怠けていると駄目だということです。
【最後に】
受験生の皆さんは、どの学校にするかどの学部にするかどの学科にするかと、悩まれていると思います。私は数学が好きでもっと学びたいと思っている方には、数学科を強く勧めたいと思います。数学科に二の足を踏む理由の一つに、数学科は就職先が少ないというイメージがありますが、私はそんなことないと思います。数学と真摯に向き合うことで、「論理的思考力、結果が出るまで諦めない精神力、物事の本質を理解する力」が得られます。というか、身をもって体感しましたし、私の指導教員や日本が世界に誇る数々の数学者もそのようにおっしゃっています。この力は、社会人として様々な場面で応用が利くと思いますし、そのうえで、数学が使いこなせれば、鬼に金棒です。もしかしたら、会社によっては無敵かもしれません。入学して4年後の就職のことを考えるよりも、今好きなこと、知りたいことを真剣に取り組める環境を探してほしいと思います。そして、数学や理学で磨かれた皆さんと一緒に仕事ができることを楽しみにしています。