東京理科大学 TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE

理工学部 理工学研究科

2023年4月より「創域理工学部」へ名称変更

石塚 正基教授 ISHITSUKA Masaki

所属学科: 先端物理学科(現:物理学科) 学位: 博士(理学) 専門分野: 素粒子物理学 研究室URL: https://www.rs.tus.ac.jp/ishitsuka/ 研究者DB: https://www.tus.ac.jp/academics/teacher/p/index.php?6E65

素粒子の研究から宇宙の仕組みを探る

ニュートンをはじめとする物理学者は自然界の現象を観測し、その背後に存在する物理法則を解き明かしてきました。この試みは現在も続いています。リンゴが木から落ちることは万有引力と運動の法則で説明できますが、物質の起源や暗黒物質の正体は、我々の知る物理法則では説明できません。素粒子物理学は、物質を構成する最も基本的な要素と、その間に働く力の法則を探求する学問です。宇宙は想像もつかないほど広大ですが、人類は身近に存在する物質、そして時空の仕組みを理解することにより、その起源に迫ろうとしています。(写真は素粒子物理学実験で用いられる計測器)

ニュートリノ観測で探る素粒子と宇宙

手のひらを拡大すると細胞の集まりであることが分かります。さらに拡大していくと分子が見えてきます。このように、物質を拡大して観察することで内部構造が明らかになりますが、どこかで内部構造を持たない構成要素に行き着くと考えられます。この最も基本的な構成要素を素粒子と呼びます。素粒子物理学の究極の目的は、素粒子とその間に働く力の法則を解明し、宇宙の仕組みを理解することです。特に、素粒子の一つであるニュートリノは観測が難しいため、未だ解明されていない部分も多く、幽霊粒子とも呼ばれています。ニュートリノは物質とほとんど相互作用をしないため、観測するためには巨大な検出器が必要です。

中でも、5万トンの水で満たされた世界最大級のニュートリノ検出器が岐阜県飛騨市にあるスーパーカミオカンデです。スーパーカミオカンデの研究により、ニュートリノが質量を持つことが明らかになりました。しかし、これはニュートリノの性質の一部に過ぎません。2020年には検出器を改良し、宇宙初期の超新星で発生したニュートリノの観測など、素粒子と宇宙の謎に迫る新たな発見を目指して、現在も観測を続けています。石塚研究室では、世界中から集まった研究者と協力し、スーパーカミオカンデによるニュートリノの研究を行っています。(写真提供 東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設)

次世代の巨大検出器と加速器で物質の起源に迫る

物質を構成する素粒子には対になる反粒子(反物質)が存在します。例えば、電子には陽電子と呼ばれる反粒子が存在します。粒子と反粒子は常に対で発生し、粒子と反粒子がぶつかると両方とも消えてしまいます。宇宙が誕生した直後には粒子と反粒子が同数作られたと考えられていますが、そのままでは、やがて全て消えてしまうことになります。しかし、現在の宇宙には、なぜか粒子が多く残され、反粒子はほとんど存在しません(作られても、すぐに周辺の粒子とぶつかって消えてしまいます)。これは「消えた反物質の謎」と呼ばれ、今のところ、我々の知る物理法則では原因を説明することはできません。

このような一見すると解決が不可能とも思える謎ですが、近年の研究から「CP対称性の破れ」と呼ばれる粒子と反粒子の振る舞いの違いや、様々な素粒子と力を統合する「大統一理論」がその糸口になると考えられています。これらを検証するための次世代実験が、スーパーカミオカンデをさらに大型化し、飛躍的に性能を向上したハイパーカミオカンデです。この計画では、茨城県東海村のJ-PARC加速器を使って人工的に生成したニュートリノを、300 km離れた岐阜県飛騨市のハイパーカミオカンデで観測し、ニュートリノ振動と呼ばれる現象を研究することで、ニュートリノにおけるCP対称性の破れの発見を目指しています。また、大統一理論が予言する陽子が崩壊する現象を、世界最高感度で探索します。陽子が崩壊する現象が発見されれば、大統一理論が正しいことが実証され、素粒子の根源的な理解が深まることになります。(写真はハイパーカミオカンデに用いられる光センサー)

For Students

物理学を通して学ぶこと

物理学は「なぜ?」に答えることで発展してきました。「なぜ夕方の空は赤いのか?」「なぜ水は蒸発するのか?」こういった疑問に答えるには、その原理から理解し、論理的に筋道を立てて考えることが必要です。物理学を学ぶことで得られる論理的思考力は、今後ますます重要になっていくと考えられます。卒業研究や大学院では各自の研究テーマに取り組みます。素粒子物理学の分野では国際共同研究が中心となっており、他大学や海外の研究者とも議論しながら研究を進めていきます。具体的には、測定器の開発や性能評価試験、シミュレーションや機械学習などのプログラミング、データ解析などを行います。実践的な経験を通して、自然科学の楽しさと深淵さを実感してもらえればと思います。

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