加塩 朋和准教授 KASHIO Tomokazu
数論は“数”の性質や法則を探る学問です
ところが多くの美しい法則は、ただ“数”を眺めているだけでは発見できません。そこで前段階として何かしらの“数学的対象”を深く調べます。
私は代数的手法が好きで、主にp進数体、代数体などの「体」を調べています。「体」とは「加減乗除ができる集合」のことで、有理数全体、実数全体、複素数全体なども「体」になります。
一方で楕円曲線、モジュラー曲線などの幾何的な対象や、ゼータ関数、保型形式などの解析的な対象も扱います。(好き嫌いすると大きくなれないので)
いろんな研究テーマ
整数はとても古くから研究対象であり続けていて、そのため “数論的な問題” は沢山あります。その中には、元々の問題の形からは思い付かないような研究手法で解決されてきたものも数多くあります。他分野の結果を使役するので、「数論は数学の女王」などと評した数学者もいます。
例えば「素数は無限個ある」というのは有名な事実ですが、これは「リーマンゼータ関数ζ(s) が s = 1 で無限大に発散する」という事実からも導けます。解析的な見かけのリーマンゼータ関数が、実は整数の重要な情報を含んでいて、それを詳しく調べることで数の性質が明らかになるのです。
逆に言えば、色んなことをやってみても数論的な問題にぶつかりうる、ということになります。本研究室では、数論における入門的な文献を一つか二つ読み終わった後は、私の専門に限らず、各学生に自分の研究テーマを自由に選んでもらっています。結果的に私の予想を超えるような研究成果も沢山生まれてきました。これまでに代数体の類数・単数群・整数環、楕円曲線の解析的・幾何的な性質、二次形式やPell方程式などの代数方程式、多様なゼータ関数、環論、連分数展開、平方剰余の相互法則などなど、多様なテーマの修士論文や博士論文を書いてもらっています。
未解決問題に挑戦
数学の世界は「分かっていること以外は全く分かってない」という状態です。
中学や高校の教科書なんかでは、主に分かっていることだけを「定理」や「計算方法」として紹介していくので、分かってないことにはなかなか出会えません。
一方で大学数学では、ちょっと道を外れるとすぐに「未解決問題」にぶつかります。興味がある人は是非進学して「未解決問題に挑戦」してください。