東京理科大学 TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE

創域理工学部 理工学研究科

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高橋 昭如教授 TAKAHASHI Akiyuki

所属学科: 機械航空宇宙工学科 学位: 博士(工学) 専門分野: 計算力学/材料力学/材料科学 研究室URL: https://www.rs.tus.ac.jp/takahashi_lab/index.html 研究者DB: https://www.tus.ac.jp/ridai/doc/ji/RIJIA01Detail.php?act=pos&kin=ken&diu=3124

強くて壊れにくい材料を目指して

機械や構造物の安全性を評価する上で、材料の強度と破壊を理解することは非常に重要です。材料の強度や破壊は、目で直接見ることのできないナノ・マイクロスケールの現象に起因するため、実験的・理論的にアプローチすることが困難です。そのため、コンピュータを用いた数値シミュレーションの活用が期待されています。本研究室では、多種多様な数値シミュレーションを駆使して、材料の強度や破壊のマルチスケールなメカニズムの解明を目指しています。

ナノスケールのメカニズムから理解して,金属材料を強化する

発電所などの安全性や経済性を高めるためには、金属材料の高強度化や、既存の材料の定量的な強度予測が求められています。金属材料の強度を評価・予測するためには、転位と呼ばれる原子レベルの格子欠陥の運動によって生じるナノスケールの変形メカニズムから理解することが必要です。転位の力学的・化学的特性は原子間の相互作用によって決定されるため、原子スケールの数値シミュレーションを用いることが必要です。モデル化されたナノスケールの転位の力学的・化学的特性は、金属材料の変形をもたらすマイクロスケールの転位の運動(移動距離)の評価・予測に利用します。また、金属材料の強度は、転位と材料中の析出物などの転位の運動を阻害するものとの相互作用に影響されます。
本研究室では、ナノスケールでの転位の力学的・化学的特性のモデル化を出発点として、マクロスケールの金属材料の強度を評価・予測するシミュレータの開発を行っています。本研究室で開発するシミュレータは、原子レベルの数値シミュレーション(分子動力学法)で得られた転位の力学的・化学的特徴の情報を入力とし、転位間の相互作用や転位と析出物の相互作用をマイクロスケールの数値シミュレーション(転位力学法)に実装し、コンピュータ上で金属材料の変形をナノスケールからシミュレーションすることを可能にします。本シミュレータを開発することによって、転位の運動に基づいて元素組成や析出物の形状・分布を制御する金属材料の強度設計の新たな指針を与えることを目指しています。

亀裂先端のミクロな破壊挙動から材料の脆化を予測する

古くから工業材料として幅広く用いられている鋼材は、温度によってその性質が変化することが知られています。室温においては、大きく伸びてちぎれるように破壊(延性破壊)しますが、極低温になるとガラスのように割れて(脆性破壊)しまうことが知られています。また、原子力発電所の圧力容器鋼は,燃料の核分裂によって放出される中性子が照射することによって、脆性破壊する温度が高温側にシフトすることが知られています。このような現象を材料の脆化と呼び、脆化の度合いを表す指標として、脆性破壊から延性破壊に遷移する温度(延性―脆性遷移温度)の高温側への移動量が用いられてきました。このような材料の延性ー脆性遷移温度の移動量を予測するためには、中性子の照射に伴う破壊挙動の変化を明らかにすることが必要です。
本研究では、亀裂先端近傍でのミクロな破壊挙動に注目し、亀裂先端から放出される転位の運動と、亀裂先端に対する転位の力学的な影響を考慮する新しい数値シミュレーション技術の開発を行っています。開発する数値シミュレーション技術では、亀裂先端付近の力学状態と、亀裂の変形に伴う亀裂先端からの転位の放出を考慮します。放出された転位の周りの力学状態は、亀裂先端の力学状態に対して影響を与えること(遮蔽効果)が知られています。本数値シミュレーション技術では、中性子の照射による遮蔽効果の変化に注目して、材料の脆化の程度の予測を目指します。

For Students

数値シミュレーションが切り開く材料研究の新たな可能性

数値シミュレーションは、実験、理論に次ぐ第3の研究手法として期待されてきました。コンピュータと数値シミュレーション技術の飛躍的な進歩によって、数値シミュレーションは複雑な科学の問題から工学的な応用まで、ものづくりには欠かすことのできない重要な手法になりつつあります。さらに、近年のAI技術の目覚ましい進歩に伴い、実験データや数値シミュレーションデータを蓄積し,AIで学習することによって、従来ではモデル化が困難であった物理現象をAIで代替する方法が、科学・工学の問題を解決する新たな可能性を秘めた方法として注目されています。本研究室の材料の強度や破壊の分野でも、AIの応用によってマルチスケールな現象を表現するモデルの構築に革命的な変化が起こると期待しています。学生の皆さんが研究に携わる頃にはAIがより実用化され、さらに新しい数値シミュレーションのトレンドが生まれているかもしれません。発展が著しい数値シミュレーション技術を用いて材料研究の新たな可能性に挑戦してみませんか。

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