東京理科大学 TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE

創域理工学部 理工学研究科

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水野 雅之准教授 MIZUNO MASAYUKI

所属専攻: 国際火災科学専攻 学位: 博士(工学) 専門分野: 火災時の避難・行動 研究者DB: https://www.tus.ac.jp/academics/teacher/p/index.php?3665

火災から人命を守る 安全に避難してもらうための研究

建物で火災が発生した場合には,避難することが求められます。建物には様々な防火防煙対策が施され,また消防設備も設置されていることから,人々は一定の安全が確保された中で避難することが可能です。しかし,火災に気がつくことが遅れたり,避難するタイミングを逃すと,逃げ遅れが生じます。また,避難経路の通行用量が限定されることで,一時的に思うように動きが取れない場合もあります。したがって,どう逃げるのかを究明すると共に,どう逃がすのかを考えることが研究対象です。また,住宅火災から都市火災まで幅広いスケールで火災時の避難安全を考え,宇宙施設も研究対象としています。

高層事務所ビルからの順次避難の高度化

高層ビルで火災が発生した場合,一斉避難すると階段では各階からの避難が合流するため階段の通行容量で流れが制限され滞留が生じます。この混雑が過度にならないように段階的に避難指示を特定の階に出していくことで制御可能です。これを順次避難と呼び,そのシナリオをあらかじめ計画することが肝要です。また,煙伝播リスクが高い階から優先的に避難させるなどの総合的な計画の立案も求められます。

掲載した動画は,ある高層事務所ビルで順次避難を採用した全館避難訓練における各階の階段踊り場の様子を撮影したものです。冒頭の様子は,避難指示を与える階のグルーピングやそのタイミングが適切ではなく,階段で混雑が生じています。途中から映像が切り替わりますが,別の年の避難訓練ではこれを改善して混雑を回避するばかりでなく,1階出口からの避難流動が途切れないように配慮し,避難時間を不必要に延長させていません。実際の避難は,在館者人数も想定と異なったり,また人々の行動も想定通りというわけではなく,ばらつきが生じます。これらの不確実性も考慮した適切な避難シナリオの計画手法の確立を目指しています。

VR避難シミュレーター:避難行動分析や誘導方法の有効性評価

火災時の避難行動を分析するため,火災で罹災した人々にインタビューやアンケートを通じて質問することもあります。火災調査報告書に見られる様々な建物内の様子や人々の行動の記録は,火災時の避難行動を学ぶ上で大変貴重な資料です。一方で,近年ではコンピューターや映像技術・機器の発展に伴い,VR(仮想現実)の体験を通じて意思決定や行動を分析する方法も採用されています。実空間では再現が困難な大規模な空間での避難をVRで体験してもらい,行動を分析したり,サインの有効性などを評価できます。
掲載した動画は,地下街通路の出口選択傾向を分析するために開発したVR避難シミュレーターのプレーヤーの視界です。また,終わりの方に示したように,デジタルサイネージによる避難誘導効果も分析しました。このように新たな避難誘導手法を提案し,その有効性を評価する一つの手法としてVRを活用できると考えています。

For Students

既往研究のトレースに新たな思考を

水野研究室には,宇宙施設での避難行動を研究している学生がいる。宇宙開発に興味を持ち,防災分野との共通項を考え,微小重力や低重力の環境での避難行動が研究テーマになったようである。米国NASAはアポロ計画により月への有人宇宙飛行を成功させ,1969年7月20日にアポロ11号で月面着陸を果たした。科学技術に偉大な功績を残したと言える。NASAでは1/6重力シミュレーターを開発し,歩行特性の分析やトレーニングが行われた。現在,我が研究室では規模を縮小し簡易化したシミュレーターを使って,低重力下での避難行動に関する研究を行っている。どの分野も共通だと思うが,先行研究を学び,独自の思考により研究を発展させてほしい。
参考文献: A LUNAR GRAVITY SIMULATOR VOLUME II, NASA CONTRACTOR REPORT, National Aeronautics and Space Administration, 1968.

参考動画: https://www.youtube.com/watch?v=2SBetDGrp00&t=50s

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