東京理科大学 TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE

創域理工学部 理工学研究科

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藤本 憲次郎教授 FUJIMOTO Kenjiro

所属学科: 先端化学科 学位: 博士(工学) 専門分野: 無機材料化学 研究室URL: https://tus-fujimotolab.jp/ 研究者DB: https://www.tus.ac.jp/academics/teacher/p/index.php?29ac

セラミックスとは

セラミックスとは金属陽イオンと酸化物イオンなどの陰イオンが主としてイオン結合している固体を指し、イオンの配列様式と構成イオンに起因して様々な性質を示します。例えば、バリウムと鉄の酸化物は鉄に起因した磁性を持ち、フェライト磁石として実用化されています。また、バリウムとチタンの酸化物はコンデンサとして利用されています。新たな機能性セラミックス素材を探すには、元素などの組み合わせから性質の変化を追う必要があります。

結晶構造を理解する

駅の改札等で使うICカードの記憶原理は考えたことがあるでしょうか。記録とは「残す」こと。紙に文字を書くことは、紙面上にインクが残り続けるために記録となりえます。ではICカードは何を「残す」ことで記録しているのでしょうか。正解は「原子の位置」、教科書的に言い換えれば「電気双極子モーメントの方向」です。高校化学では水(H2O)の双極子モーメントを習います。H2O分子は折れ曲がっているので、+と-の電荷の偏りが打ち消されずに電気双極子モーメントを持ちます。直線型分子であるCO2は「点対称」であるため双極子モーメントを持ちません。このように、双極子は物質の「構造の対称性」に起因した性質となります。話をICに戻すと、ICの中には点対称ではない結晶構造を持つ「強誘電体」と呼ばれるセラミックスが使用されています。強誘電体は双極子モーメントを持ちますが、電場の印加により結晶を構成する陽イオンと陰イオンが電場に引っ張られて少しだけ動き、双極子モーメントの方向を電場に合わせて変化させることができます。印加する電場の+、-を逆転させれば双極子モーメントの方向も逆転します。双極子モーメントの「正」と「逆」の方向を電子情報である”0″と”1″に対応させることで記録を実現します。前置きが長くなりましたが、セラミックスの性質と構造は密接にかかわるため材料設計には結晶構造および対称性の知識が必要となります。
高校では単位格子や面心立方格子などを学んでいますが、前述の強誘電体を結晶構造および対称性を理解するには、結晶の形の対称性を説明できる32種類の結晶点群を勉強する必要があります。写真は講義で使う木製結晶モデルです。自然界そして人工的に産み出される物質はガラスを除き写真のような結晶形状を見ることができます。これらの結晶の対称性(軸を通して360°回転させたときに同化、すなわち同じ結晶面配置になる回数は何回あるか、そして板を差し込んだ時に上下あるいは左右で対称となる位置があるか)を見ていくと11種類が対称中心をもたない極性結晶に分類され、この結晶の形をもつ物質のなかに強誘電体としての性質をもつことが期待されます。この知識は先端化学科2年生で学ぶことができます。

革新的な機能性セラミックス探索プロセスの構築

前述で「新たな機能性セラミックス素材を探すには、元素などの組み合わせから性質の変化を追う必要があります。」と触れました。周期律表を眺めると考えられる組み合わせは無限であり、効率的な材料探索技術が必要です。この「材料探索技術」と「膨大な蓄積データに基づく材料予測」を融合した研究を目指しています。前者の「材料探索技術」はコンビナトリアル化学に基づいています。コンビナトリアル化学は1963年にメリフィールド博士が提案した固相ペプチド合成法であり、1884年にノーベル化学賞を受賞しました。膨大な組み合わせの物質群を効率的に産み出す概念として医薬・創薬業界で広く利用されているだけでなく、材料を探す研究者にも注目されています。我々は多成分系(多くの元素種を含む)セラミックス粉末を作製するため、この概念を適用して自動粉末合成ロボットシステムを構築しました。そして自動高速評価システムの開発と併せて1日あたり最大で100通りの組み合わせからなる試料群の探索が可能になりました。これに更なる機能を付与するために新たな機構(ロボット)の増設にもチャレンジしています。後者の「膨大な蓄積データに基づく材料予測」はデータ駆動型研究もしくはマテリアルズインフォマティクスと呼ばれています。文献から掘り起こしたデータや計算化学から導かれたデータなどに対して機械学習を通じて特徴的な情報を見出し、コンピューターのなかで実験に必要な物質を絞り込む方法です。セラミックスは固相、液相そして気相に基づくあらゆる合成方法があり、実験条件により得られる特性が変わってしまいます。自分たちで決められた実験条件のもと膨大なライブラリを作製できる材料探索技術とデータ駆動型研究を融合させた「革新的な機能性セラミックス探索プロセス」の構築が高精度の材料探索を可能にするはずです。

For Students

従来の材料研究の基本に加えて・・・

私の研究室ではセラミックス(無機材料)としてリチウムイオン二次電池正極材、熱電変換材料、水素ガスセンサ材、光触媒、窒素酸化物選択還元触媒、および蛍光体を、金属材料として形状記憶合金および超弾性合金の研究を進めています。新しい素材を探すだけでなく、見つけた素材を高機能化させるための研究課題もあります。上述で機械学習という言葉が出ましたが、ほかの学科の先生でもキーワードとなっているデータサイエンスも化学に基づくモノづくりでは必要になります。化学もデータサイエンスも貪欲に取り組んでみたい方の参加を楽しみにしています。

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