東京理科大学 TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE

創域理工学部 理工学研究科

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【[横断型コース]デジタルトランスフォーメーションコースについて語り合う】-経営システム工学科・安井清一准教授 情報計算科学科・松澤智史准教授-

創域理工学部の特長的な学びの仕組みである「横断型コース」。今回は8つあるコースの中でも、最も注目されている分野の一つであるデジタルトランスフォーメーション(以下DX)を扱うDXコースについて取り上げます。

情報化社会変革に必要な理論・処理系・応用について、統一的に研究教育を進める[横断型コース]DXコースは、経営システム工学科、情報計算科学科、数理科学科の教員を中心に構成されています。今回は、データサイエンスと工学の知識により、データから価値を創出するプロフェッショナル、安井准教授と、ネットワークについて幅広く研究する、コンピューターサイエンティスト、松澤准教授に、このコースの魅力や取り組みについて聞きました。

松澤准教授(左)と安井准教授(右)

安井 清一(やすい せいいち)
東京理科大学 理工学部 経営工学科 卒業、同大学院理工学研究科 経営工学専攻 博士課程 修了。博士(工学)。東京理科大学 理工学部 経営工学科助手、同助教、同講師を経て、 2013年4月より現職。主な研究分野は統計的品質管理。[ 横断型コース]DXコース 副コース長も務める。ISO(国際標準化機構)/TC69(統計的方法の適用)及びISO/TC312(サービスエクセレンス)の国内審議委員会委員、国際日本代表エキスパート。

    

松澤 智史(まつざわ ともふみ)
東京理科大学 理工学部 情報科学科 卒業、東京大学大学院 工学系研究科 電子工学専攻 博士課程 修了。博士(工学) 。東京大学大学院 工学系研究科 リサーチアシスタント、東京理科大学 理工学部 情報科学科助教、同講師を経て、2023年から現職。主な研究分野はネットワーク工学。インターネットのように物理的に存在するネットワークから、人間関係ネットワークやニューラルネットワークなどのモデルとして扱う論理的なネットワークまで幅広く扱っている。

松澤研究室
https://mlab.is.noda.tus.ac.jp

    

*「横断型コース」(全8コース)とその中の1コースである「DXコース」についての詳しい情報は創域理工学部ホームページをご覧ください。
横断型コース https://dept.tus.ac.jp/st/structure-of-education/course/transverse/
DXコース https://tus-riko-cross.jp/dx/

「DX」という一つの流れに必要な知識を
各分野の専門家から学べるDXコース

―まずは先生方のご専門について教えてください。

松澤:私の研究室では、社会インフラであるインターネットの基盤・応用技術をはじめ、ネットワークに接続している計算機などを利用した技術・サービス、またそのセキュリティ技術などの研究をメインに行っています。さらに複雑ネットワークや脳神経ネットワークを模したニューラルネットワークを用いた研究なども行っています。ニューラルネットワークの研究をし始めた頃、ニューラルネットワークを使った人工知能が一気に出始めて、人工知能、知能情報学にも研究範囲が広がっていきました。

安井:データサイエンスと工学の知識をベースに、ビジネス課題や社会の問題を解決するための研究を行っています。主な専門分野は統計的品質管理です。統計的品質管理とは、ものづくりにデータ解析の知見を持って関わることで、安全安心で価値のある製品の提供を目指すもので、データサイエンスと深く関連しています。また品質管理は、古くから企業と大学が密に協力してきた分野で、データに基づいて品質や安全性を評価、分析し、改善活動を行ってきました。私の研究室では最近、これまで難しいとされてきた 難燃化木材生産 (天然材料)の品質管理にもチャレンジしています。

お二人のご専門がわかったところで、DXコースについてお話をうかがいます。DXコースのホームページなどでは、「DXを『情報技術と現実を結びつけ、融合を進めていくとともに、その過程で変化を引き起こすこと』と定義づけ、情報化社会変革に必要な理論・処理系・応用について、統一的に研究教育を進めています」とありますが、コース名でもある「DX」について補足していただけますか。

松澤:最近よく聞かれるようになったDXという言葉ですが、世の中では広義の意味と狭義の意味、両方で使われていますよね。デジタル化するということが基礎になっているので、狭い意味ではIT化とさほど変わらない意味合いで使われることもありますし、広い意味ではかなりいろいろなものを含んでいて、経営的な視点、ビジネス的な展開、改革をもたらすということまでセットで考えられた概念です。DXコースとしては、後者の広い意味でのDXを扱っていますよね。

安井:そうですね。DXコースでは単にデジタル技術を用いるのではなく、行動を変えるとか、経営のやり方を変えるとか、新しい価値を見出すとか、最終的に変革をもたらすデジタル技術の活用をDXと考えて研究教育をしています。ホームページにもあるように、DXというのは「情報技術と現実を結びつけ、融合を進めていくとともに、その過程で変化を引き起こす」という一連の流れです。この一連の流れに対応できるように、DXコースでは、根本的な要素技術、コンピューターサイエンスを専門とする情報計算科学科、ビジネス的な応用を得意としながらデータサイエンスを扱う経営システム工学科、難しい数学が扱える数理科学科の教員が集まっています。流れの中で、どこが欠けていてもDXはできないという認識です。

松澤:私たちコンピューターサイエンスの分野では、DXで行う「デジタルを用いてデジタル化して何かする」っていうのは当たり前のようにやってきたことですが、安井先生たち経営システム工学の先生方と連携することで、ビジネスの課題を解決するとか、改革をもたらすといったことが実現可能になって、DXという一つの流れをカバーできるようになったと感じています。

―DXコースに3つの学科から専門家が結集する意味合いが見えてきました。連携のメリットをもう少し教えてください。

安井:私の視点でお話しすると、松澤先生のようなコンピューターサイエンスの専門家と連携すれば、コンピュータの素人が使える情報技術の制約を開放してもらい、可能性が広がるという期待感があります。例えば私の研究分野の一つである「統計的品質管理」では、製品の設計も最近では実機の実験の回数を減らしてコンピューターシミュレーションでやることが多いのですが、私たちは新しいコンピューターシミュレーションは作れないので、既存のもの使ってどういう実験をしようか、どういうデータ分析をしようかという話になります。でも、物作りのやり方自体をがらっと変えると言ったら、当然データ分析も大切ですが、シミュレーション自体も新しいものが必要になりますよね。また、例えば工場のデータ解析をするような場合、今はそこで使われているネットワークを通してデータ収集をしたり、データベースを作るにしてもSQLのような標準的なものを使ったりしています。でも、新しい情報技術を使えば新しいタイプのデータがとれるかもしれないし、他のデータベース言語を使えば、データベースの作り方にも可能性が広がるかもしれない。このコースを通して、経営システム工学科、情報計算科学科、数理科学科の先生方の知識を融合できれば、本当に新しいものを生み出すことができるのではないかと考えています。

松澤:私たちコンピューターサイエンスの分野では、応用先を考えずに理論が面白くて研究しているというケースもあります。使える技術だけれど、社会の役に立てるためにどう組み立てるかという具体的なところまできちんと考えられていなかったり、技術ができた後にあわてて応用先を考え出したりといったこともあります。一方、経営システム工学の先生方は、目的を定めて明確なビジョンとか出口のアイデアを持っている方が多いですね。ビジネスに近いところで研究されているので、お話ししていると、具体的なビジネスにつながる事例が聞けたり、こんなところにこんな技術が使えるというアイデアや使い道が見えてきたりして、本当におもしろいですし、たくさんの刺激をいただいています。「こういう技術を作ったのですが……」とご相談して、応用先のアイデアを助言していただくこともあります。同じ学科の滝本先生(滝本宗宏教授・創域理工学部 副学部長)は、「コンピューターサイエンスはいろんな分野の糊になる」という言い方をされていて、くっつける役割があるのではとおっしゃっていましたけど、完成した技術の応用先を提示してもらえるというのは、共同で何かをやる大きなメリットだと感じています。

関連分野について「広く知る」メリットと
DXコースの未来

─DXコースのカリキュラムや所属するメリットについて教えてください。

松澤:DXコースでは各教員が行うオムニバス形式の授業が基本になっています。企業の方を招いて授業をしていただく機会もあります。そのほか年に2回の研究発表会があります。またコースゼミといって、教員と学生でミーティングをする場もあります。オムニバスの授業を聞いているだけでも、DXに関連するあらゆる分野の知識が得られますし、ポスター発表などすると、分野の近い先生たちから的確なコメントをもらったり、ふだんのゼミや学会では得られない視点の意見を聞くことができ、学生にとって有益な場となっています。私自身も経営システム工学の学生さんの発表などを見ると、私の研究領域と重なる研究などもあったりするので、楽しく拝見させていただいていますし、たくさんの刺激をもらっています。

安井:関連分野について体系的に広く知るということは、研究活動においてはもちろんのこと、就職してからも大事になってくることです。企業活動は問題解決の連続であるとも言われていますよね。何か問題を解決しようとするとき、一つの分野の知識だけでは解決に至らない、周辺知識を知っておかないと、というのは私も日々、企業の方々と仕事をする中で強く実感しています。

松澤:コースがあることで他学科の先生方が身近になってお話しする機会が増え、何を研究されているのか目の当たりにすることができ、実は自分の研究と親和性が高いとか、理念は違うけれど同じものを作っているといったことが見えてきました。そこから今後、共同研究に発展するケースもあるでしょうし、教員も学生も自分の接する領域が広がるというメリットの大きさは計り知れません。

安井:私は防災リスク管理コース(横断型コースの別のコース)にも所属しているのですが、そこで始まったのが建築学科大宮喜文先生との共同研究で、冒頭でお話しした難燃化木材生産(天然材料)の品質管理の研究です。横断型コースが他の分野の先生方との連携のきっかけを創出する存在になっていることは確かだと思います。DXコースでは他の先生方と協力関係を築きながら、まだ本格的な共同研究は行っていませんが、これから新しいことができるのではないかという大きな期待感があります。

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