物理数学群

物理数学群では、物理学を記述するために必要な数学を学ぶ。物理学では、実験によって物理現象を把握し、現象の本質を(必要なら適切な近似を用いて)数式化して、根底にある基本的な物理法則を数式で導く。数式化された物理法則から起こり得る現象を数学的に予測することもできる。したがって、数学の理解なくしては物理学の理解もありえない。本講義群では、物理学を理解するために必要な数学を、物理と関連付けて修得する事を目的とする。物理学の道具として使える数学を教えることを主眼とし、数学の定理の厳密な証明については、関連専門基礎科目の微分積分学、解析学、線形代数で学ぶ。

物理数学1A

高校で学んできた微分・積分と行列を基礎として、微分の応用と微分方程式、対角化など物理で使う行列の応用と線形空間の基礎を学ぶ。本授業のもう一つの特徴は、高校数学から大学物理数学へ滑らかに接続することである。関連専門基礎科目の微分積分学と線形代数は物理数学1Aを補完するので、それら科目の受講を薦める。

物理数学1B

3次元空間の物理学(力学、電磁気学、等)を記述するために必須のベクトル解析、極座標、多変数の微積分を扱う。具体的には、時間や空間に依存するベクトル関数・ベクトル場、中心対称性のある系の極座標による記述、多重積分・線積分・面積分、力の場や基本法則を導くのに必要な微分演算子・積分定理を学ぶ。

物理数学2A

物理学・数学全般で基礎となる複素積分の方法と、物理系の解析や、微分方程式の解法として非常に重要なフーリエ・ラプラス変換を主に扱う。具体的には、コーシーの定理、留数積分、デルタ関数、フーリエ級数展開、規格直交完全性、フーリエ変換、ラプラス変換、畳み込み定理などの事項を学ぶ。

物理数学2B

「波動、熱伝導など様々な分野で登場する偏微分方程式の一般的な解法」、「物理学のあらゆる分野で重要な変分原理を理解するために必要な変分法の一般論と解法」、「電磁気学、量子力学、統計力学などで登場する特殊関数について、解の求め方や性質」の3つについて学ぶ。具体的には、波動方程式、熱伝導方程式、ダランベール解、変数分離法、変分原理、オイラー・ラグランジェ方程式、未定乗数法、常微分方程式の級数解、ルジャンドル多項式、ベッセル関数、エルミート多項式、などを学ぶ。