活躍する卒業生からの声(大学・公的研究機関)





渡部昌平(芝浦工業大学准教授) 東京理科大学の前身が東京物理学講習所(のちに東京物理学校に改称)であるように,理科大の物理学科は理科大の中でも伝統と実績がある学科です.そんなことを背景に,物理学を学ぶならと思い東京理科大学の物理学科に進学しました.その後,縁もあり2014年度から2021年度まで教員として関わる機会にも恵まれました.物理学科では,自然法則を理解するための概念とそれを記述するための数学を学び,また物理学実験で自然現象の深淵さを体感しながら,それをどう理解するかの練習を積みます.現在,私は芝浦工業大学の工学部情報工学科で量子コンピュータ・量子情報工学という物理学と情報工学の境界領域的なところにいます.(芝浦工業大学の情報工学科はAI・機械学習・仮想/拡張現実(VR/AR)・社会ネットワーク・自然言語処理・計算機アーキテクチャなどに加えて量子コンピュータも学べる,時代のいまと未来を切り取るような学科です.)私の興味と研究の対象がいわゆる自然現象から情報工学にも広がった感覚ですが,自然現象を記述・理解するために母校・物理学科で学んだ基礎は十二分に役立っています.(2022−06 掲載)
渡部昌平(芝浦工業大学准教授)

東京理科大学の前身が東京物理学講習所(のちに東京物理学校に改称)であるように、理科大の物理学科は理科大の中でも伝統と実績がある学科です。そんなことを背景に、物理学を学ぶならと思い東京理科大学の物理学科に進学しました。その後、縁もあり2014年度から2021年度まで教員として関わる機会にも恵まれました。物理学科では、自然法則を理解するための概念とそれを記述するための数学を学び、また物理学実験で自然現象の深淵さを体感しながら、それをどう理解するかの練習を積みます。現在、私は芝浦工業大学の工学部情報工学科で量子コンピュータ・量子情報工学という物理学と情報工学の境界領域的なところにいます。(芝浦工業大学の情報工学科はAI・機械学習・仮想/拡張現実(VR/AR)・社会ネットワーク・自然言語処理・計算機アーキテクチャなどに加えて量子コンピュータも学べる、時代のいまと未来を切り取るような学科です。)私の興味と研究の対象がいわゆる自然現象から情報工学にも広がった感覚ですが、自然現象を記述・理解するために母校・物理学科で学んだ基礎は十二分に役立っています。(2022−06 掲載)




寺田典樹 (国立研究開発法人物質・材料研究機構 中性子散乱グループ 主幹研究員)
寺田典樹
(国立研究開発法人物質・材料研究機構 中性子散乱グループ 主幹研究員)

現在私は、日本で唯一の国立材料研究所で、環境問題やエネルギー問題を解決する磁性体材料に関する物理の研究をしています。大学と大学院の9年間理科大物理で学びました。特に、大学院時代は昼夜問わず研究に没頭していました。研究者となった今では、その当時に学んだ物理学の知識や研究のノウハウが、多様に変化する社会ニーズに対応した研究課題に柔軟に対応する上で、極めて重要なことであると改めて実感しています。理科大物理は、伝統的に熱心な先生方がおられるので、とてもハイレベルな授業や、教育的なカリキュラムが組まれていると思いますし、理科大物理出身の研究者も多くいます。学生のみなさんは、日々のレポートや定期試験など大変かと思いますが、自然科学でもっとも基本的で重要な物理学という学問を専攻されたことに誇りを持って、自然現象を物理学を通して見ることの楽しみを存分に味わってください。理科大物理で学んだことは、どのような道に進むにせよ、きっと今後の人生をより良いものにしてくれると思いますよ。(2022−06 掲載)




伊良皆拓 (京都大学医学部附属病院放射線治療科 特定助教・医学物理士)
伊良皆拓
(京都大学医学部附属病院放射線治療科 特定助教・医学物理士)

皆さんは放射線治療を物理・工学の面から支えている「医学物理士」という職種をご存知ですか?私は現在、医学物理士として日々臨床・研究・教育を行っております。放射線治療では放射線と物質の物理的相互作用を基礎としており、この相互作用については物理学科の授業で学ぶことができます。放射線治療も、実は物理からはじまっているのです。物理学科で学び、経験する一つ一つのことは、将来様々な分野へ踏み出す第一歩となる貴重な経験です。どこにどんな物理が使われているのかは自ら興味を持ち調べることで見えてくると思います。物理学科での経験を活かし、皆さんが世界で幅広く活躍することを楽しみにしております。(2022−04 掲載)




岩本 洋子(広島大学准教授)
岩本 洋子(広島大学准教授)

物理学科には学部学生として4年間(2000-2003年)、教員として約3年間(2014 -2016年)お世話になりました。物理学科では、物理の基礎から応用を、理論と実験の両方のアプローチから体系的に学ぶ事ができます。物理学は様々な自然現象の中に普遍性を見出し、簡単な法則で理解しようとする学問です。現在、私は地球環境科学という学際的な分野で大気中微粒子の気候影響について研究していますが、物理学を学ぶ事で身につけた「シンプルな法則で理解を試みる」姿勢は複雑な自然現象を理解する上で大いに役に立っています。同時に、大学時代にもっと勉強しておけば良かったとしばしば思います。学生の皆さんは、将来後悔しないように在学中は大いに勉学に励んで欲しいと思います。(2019−12 掲載)

科学フォーラムに掲載された岩本さんの記事




中島多朗(東京大学物性研准教授)
中島多朗(東京大学物性研准教授)

私は理科大で博士号を取得した後、物理学科の助教、理化学研究所の研究員を経て、現在は東京大学物性研究所に研究室を立ち上げ、中性子ビームを使って物質中の新しい量子現象を解明することに取り組んでいます。物理学は自然現象の基礎的かつ普遍的な側面を理解する学問ですから、それを学ぶことで得られた力は卒業後社会に出ても非常に応用範囲が広いです。実際に自分が現在行なっている専門的な研究においても、学部と大学院で学んだことが生かされていると日々感じています。また物理学科の先生方は非常に教育熱心で、特に実験や演習の授業や研究室配属後においてもたくさん議論をさせていただいたことが印象に残っています。これから物理学科に入られる皆さんも、ぜひ先生方や仲間たちとの対話の中で理解を深め、それを生かして様々な分野で活躍されることを期待しています。(2019−10 掲載)




小林悟(岩手大学教授)
小林悟(岩手大学教授)

現在、生体医療への応用を視野に、磁性ナノ粒子の磁化機構に関する研究をしています。理科大で博士号を取得後、超伝導薄膜、磁性強誘電体、鉄鋼材料など種々の材料の物性研究に従事してきましたが、物事の考え方や研究に対するアプローチの仕方の多くは学生時代に培ったものでした。また、本学の実力主義の精神の下、学部在学中は挫折も経験しましたが、そのお陰で基礎科学の重要性も再認識できました。物理学科の卒業生には、現在、物理とは直接関係ない仕事に就いている方も多いでしょう。しかし、物理学科で身についた精神と思考は必ず、皆さんの将来に活かされると信じています。(2019−2 掲載)




渡邊良祐(弘前大学)
渡邊良祐(弘前大学)

私はこれまで、太陽電池や人工ナノ構造の表面に関する研究を行ってきました。これまでに様々な場所で研究を続け、まだまだ勉強の毎日ですが、理科大で学んだ物理の基礎が私の研究の土台となっていることを強く感じます。理科大の物理学科では基礎を重視した教育がなされており、難しい問題に対して原点に立ち戻って解きほぐして考える姿勢を、私はこの場所で学べたのだと思います。そして社会に出て仕事をしていくにつれ、改めて芯の通った教育を受けてきたことを実感しています。理科大で学ばれる皆様がここで得た知識、考え方、様々な人とのつながりは、将来どのような分野に行かれたとしても大きな財産となることを確信しています。(2018−10 掲載)




吉田憲司(宇宙航空研究開発機構(JAXA))
吉田憲司(宇宙航空研究開発機構(JAXA))

これまで航空技術部門で次世代超音速旅客機の研究に従事してきました。私は新しい航空機開発が小さい頃からの夢で、その実現には物理的な視点で物を捉える力を身に付けることが第一と思い、理科大の門を叩きました。当時の私の理科大のイメージは物理学校の伝統を重んじる議論が豊富な学び舎でして、入学後の先生方や同窓生との4年間はまさにその通りでした。私は新しい“物”の創造は知識の多さではなく、何かを成そうとする情熱と納得するまで考え抜く姿勢、そして何よりも好奇心にあることを学んだ気がしています。卒業後は理学から工学の世界に移りましたが、その経験は今も生きています。どうか基礎中の基礎である物理学科で大いに自身を磨いてみてください。(2017−9 掲載)




佐藤毅彦 (宇宙航空研究開発機構(JAXA))
佐藤毅彦 (宇宙航空研究開発機構(JAXA))

現在は宇宙科学研究所にて月惑星探査とその関連業務に従事している。四半世紀以上前の在学であるが、「真に人間の資質を高める教育」はそう変わらないと信じる。「すぐ使える・役に立つ・ハウツー的な」教育では、定型の問題に解答する反射神経は育っても、真に社会で通用する「未知の問題に対し思考する能力」は育ちにくい。モダンでも質の悪い教育は「すぐに時代に取り残される」人物しか育てないと思う。スタイルは古くとも質の良い教育こそが「時代の激変に適応し得る」人物を育てるものである。進級・卒業に厳しい本学にて確かに私は後者のような教育を受けたはずで、それだからこそ現在のポジションにいるのだと信じている。(2014掲載)




荒畑恵美子 (首都大東京准教授)
荒畑恵美子(首都大東京准教授)

物理学科では、現象への興味を与える実験の授業と、その現象を説明する理論の授業がうまく組み合わされるなど、非常に系統立ったカリキュラムで授業が構成されています。先生方も授業が上手で興味がなかった分野にも興味がわくようになり、実際、大学入学時には全く興味のなかった超流動や超伝導といった物性を現在は研究しています。さらに、大学院では、個性にあわせた専門的で高度な質の高い指導が受けられ、現在に至るまでの研究姿勢の礎となりました。このような理科大での指導が、早い段階で大学の教員になれたことにつながっていると思っています。(2014掲載)