熱・統計力学群

莫大な数の粒子あるいは自由度から成る自然界の物理を完全に巨視的な(マクロな)立場で記述する現象論が熱力学である。熱力学が主張する普遍的法則は、物理学を超えた多くの科学分野に適用されることを理解する。熱力学に基礎を置き自然現象のミクロ起源を力学(古典力学、量子力学)から明らかにし、確率の概念を使って多粒子で構成される現実世界の物理を定量的に記述するのが統計力学である。物性物理学はもちろん、化学、原子核物理学、宇宙物理学も統計力学無くしては成り立たない。統計力学で学ぶべき基礎が多いことに気づくが、同時に統計力学の実用性と広範な応用性に驚くであろう。

熱力学

熱力学は熱現象のマクロ現象論である。一般的な公理のみを用いるので、広範な体系に適用される。熱平衡、熱力学第1、2法則、実在気体の熱力学と相転移、熱力学第3法則を学ぶ。熱現象に対するミクロ理論である統計力学(3年生で履修)の基礎となっている。使う数学は「物理数学1A」で学修済みである。

統計力学1

統計力学1では、非相互作用系の熱平衡状態に重点を置いて、熱平衡のミクロ理論としての統計力学を学ぶ。統計力学の基本概念(確率、解析力学、アンサンブル)から出発し、古典系及び簡単な量子系を対象に具体的な問題を解く。使う数学は、解析力学、積分の応用である。

統計力学2

統計力学2では、統計力学1の理解を前提として、量子統計力学の基礎(グランドカノニカルと量子多粒子系、フェルミ粒子系、ボース粒子系)を理解する。その上で、低温物性(金属、半導体、超伝導、磁性)と宇宙物理(白色矮星、ビッグバン、3K輻射など)の基礎を学ぶ。使う数学は、統計力学1の場合に加え、特殊関数(「物理数学2B」)である。