量子力学群

量子力学は20世紀初頭に登場したミクロの世界を記述する力学である。今日では原子、分子はもとより、バンド構造やナノスケール物理、超伝導現象などの物性の理解や、原子核、素粒子、さらにミクロな未知の物理まで、量子力学は現代科学技術社会の根幹をなすものとなっている。量子力学群の科目を通して、量子力学が登場するに至った背景から出発し(物理学序論)、基本方程式であるシュレディンガー方程式とその確率解釈(1B)、1次元(1B)あるいは3次元(2A)の物理系への適用といった基本的枠組みを学ぶことができる。また現実の物理系の記述に欠かせない近似法(2B、3A)や散乱理論(3A)も理解してもらいたい。量子力学を学ぶに当たっては、力学(1、2)や電磁気(1、2)といった古典物理の知識が必要であり、特に解析力学は重要である。物理数学群の科目や、線形代数(1年)などの数学の知識は必須である。また熱・統計力学群や選択科目群・原子分子物理・特別講義1などの科目では量子力学を実際に使う例題が紹介されており、量子力学の理解に大変役立つとともに興味深い現象を知ることができる。

物理学序論

物理学序論では古典物理学の主要な概念を整理し、量子力学的現象がどのようなものか理解する。「古典物理学の概念」「プランクの量子論」「ボーアの原子模型」「ド・ブローイの物質波」「不確定性関係」などを扱う。

量子力学1B

量子力学1Bでは量子力学の基礎、1次元の問題を体系的に学ぶ。 
Griffiths 1、2、3章で「井戸型ポテンシャル」「調和振動子」「自由粒子」「量子力学の数学的構造」などを扱う。

量子力学2A

量子力学2Aでは、3次元空間でシュレディンガー方程式を解く方法について学び、水素原子に応用する。
Griffiths 4章で「球面調和関数」「動径波動関数」「水素原子」 「原子の構造」などを扱う。

量子力学2B

量子力学2Bでは、一般化された角運動量の代数的取扱いを学ぶ。また代表的な近似法である時間に依存しない摂動論の導出と応用を学ぶ。
Griffiths 4、6章で、「角運動量」「スピン1/2」「ヘリウム原子」「シュタルク効果」などを扱う。

量子力学3A

量子力学3Aでは、量子力学を現実的な系に適用する近似法と散乱理論を学ぶ。 
Griffiths 7、8、9、11章で「変分法」「時間依存摂動論」「WKB近似」「散乱振幅」「Green関数とボルン近似」などを扱う。