研究の特色

最もミクロな素粒子から始まり、原子や分子からなる物質、生物、地球、最もマクロな宇宙全体まで、自然界で起こる様々な現象を対象とし、数学で表現した法則を用いて理解を試みるのが物理学です。21世紀においても、ますます多くの可能性を秘めた学問です。

研究室紹介

宇宙素粒子系(理論)/地球惑星系(実験)/量子情報系(実験・理論)/物質科学系(実験・理論)/物理教育からなる物理学科の研究室の紹介をします。

宇宙素粒子系

宇宙の始まりから恒星や銀河といった天体の形成と進化を解明するとともに、物質の起源や宇宙を支配する根源的な物理法則をも物理学の立場から解明しようとする分野です。
鈴木研究室(理論)
私たちの世界を構成する最小単位の粒子であるクォークやレプトンを対象とし、真空や時空の構造・対称性、力の性質などについて探求し、極限での物質の姿や宇宙・天体現象の理解を試みています。
松下研究室(理論) 
宇宙空間を満たす数百万度から数千万度の高温ガスからのX線を観測することにより、恒星やブラックホールから宇宙最大の天体銀河団まで、その進化を探ります。

地球惑星系

太陽系の起源・進化と生命の原材料物質の解明を探ることから、地球温暖化、火山、地震など極めて多岐にわたる地球や惑星上で生ずる様々な現象を、物理的手法を用いて解明する学問分野です。
木村研究室(実験) 
惑星と衛星がなす系を、生命環境として理解します。広い宇宙の中で、惑星と衛星がなす系は、生命を育む環境が発生する可能性が最も高いと考えられます。我々は、惑星−衛星系の構成要素である宇宙・大気・海洋・天体内部の物理過程を、実験、直接探査、遠隔観測、データ科学、理論を総動員して解明します。

量子情報系

次世代の安全な通信、精密計測、機械学習、ゲノム解析、創薬、新材料開発などをリードする上で大きな意味を持っている量子コンピュータ、量子通信、量子計測などの量子情報技術を研究する分野です。
佐中研究室(実験)
光の粒子である光子の不思議な相関関係を利用して、解読不可能な量子暗号システムや、高速の演算処理を可能にする量子コンピュータを実現することをめざしています。
吉原研究室(実験)
超伝導量子回路上に発現する量子力学特有の状態を自在に扱うことを目指しています。究極の目標は超伝導量子コンピュータの実現です。
Sadgrove研究室(実験) 
ナノ構造近傍の近接場光は日常の光と特性が違います。このナノ光学領域では、光と物質の相互作用に新たな可能性が生まれます。ナノ光ファイバの基本技術に基づき、原子、粒子、及び光の粒(光子)の移動を研究しています。
二国研究室(理論) 
原子気体を1μK以下まで冷却すると原子が量子力学的な波として振る舞い、超流動と呼ばれる特異な現象が起こります。このような極低温の物理現象を理論的に研究しています。

物質科学系

物質の性質を、それらを構成する原子分子の集団の性質として理解しようとする分野です。原子分子の振る舞いを理論や数値計算を用いて解明します。物質と光や電磁波、電子、中性子などとの相互作用の実験、計測を通じて、背後にある物理を解明します。
坂田研究室(実験)
原子レベルで物質を調べることによって、極低温で起こる、電気抵抗がゼロ、磁場を通さない等の特異な性質を示す超伝導という現象の理解を目指しています。

徳永研究室(実験)
光とは何か、を問うことで物理学は発展したといってよく、光物理学は現代も新発見が相次ぎ、革新を続けています。一緒に光の無限の可能性を開拓しませんか。

満田研究室(実験) 
物質の多様な性質をもたらしている電子のスピンに由来する磁気モーメントの空間配列や動的な振る舞いを見抜く中性子散乱と呼ばれる実験手法を基軸に物性研究を行っています。 研究用原子炉や加速器から取り出した量子ビームである中性子ビームを使う中性子散乱実験はとても強力で、磁性と誘電性が相関する現象の解明や、量子力学的効果が顕著な低次元量子スピン系のダイナミックスの探査に威力を発揮します。
山本研究室(理論)
私たちの研究室では、様々な物質の性質を理論物理学と計算科学とデータ科学を駆使して解き明かし、各々の物質が示す多彩な物性現象の背後に隠れた普遍性や法則性を探究しています。

物理教育

物理学実験や講義実験を中心に、中学校や高校などの物理教育のあり方や方法論を明らかにしていきます。
川村研究室(実験)
将来、学校の先生になりたい方のための物理実験機の新規開発をやっています。また、3.11以降に、以前にもまして、注目を浴びている自然エネルギーのうちの太陽電池と風力発電機を作っています。

卒業研究について

学部4年次に各研究室に所属して先端の研究に携わり、これまでに学んだ知識の集大成を行います。これにより物理学科のディプロマ・ポリシー(DP)で述べている問題解決能力、論理力、姿勢とコミュニケーション能力を育みます。

物理学科内で希望する研究室に所属し、そこで行われている研究に関連したテーマで卒業研究を行います。4年生であっても最先端の研究を行うことが物理学科の伝統になっています。実践的な研究を行うことにより、3年までに学んだ基礎知識を踏まえて、有機的に知識を運用する能力、問題発見と解決の能力を養います。

主な卒業研究受け入れ研究室

宇宙素粒子系
鈴木研究室(理論)/松下研究室(理論)/加瀬研究室*1

地球惑星系
木村研究室(実験)

量子情報系
佐中研究室(実験)/吉原研究室(実験)/Sadgrove研究室(実験)/二国研究室(理論)

物質科学系
坂田研究室(実験)/徳永研究室(実験)/満田研究室(実験)/山本研究室(理論)
趙研究室*1/西尾研究室*1/目黒研究室*1

物理教育
川村研究室(実験)

数理物理系
堺研究室*1

粒子線物理系
長嶋研究室*1

生物系
梅村研究室*1/鞆研究室*2



*1:理学部第2部物理学科所属の研究室
*2:理学部教養科所属の研究室


理化学研究所、NHK研究所など外部の研究機関で卒業研究を行うことも可能です。