活躍する卒業生からの声

物理学科では「キャリア教育の一環としてのOBによる講演会」により、物理学科から社会に出て行く具体的なモデルを学生に提供し、物理学科で学ぶ意味と卒業後の進路を考えるきっかけを得てもらう機会を提供しています。同様な文脈で、各分野で活躍する卒業生の方々から、これから理科大物理学科を選択したいという高校生や理科大物理学科の在学生に向けて、「理科大物理学科で学んだことが社会に出てどのように活かされているか?」などの先人から伝えたいことを自由に語ってもらった「各分野で活躍する卒業生からの声」を頂いています。分野別に整理していますので、是非、読んでみてください。

企業

奥田良直(マツダ株式会社)

現在は、自動車メーカーでエンジンの性能開発と品質保証に従事しています。学生時代はラマン顕微鏡の研究開発など、光学に軸を置いて学んでいました。物理科で学ぶということは、未知の事象に対して只考えるに留まらず、皆を納得させるだけの理論的・実験的な検証を自分で行うということです。このプロセスを学生時分から実践できたことに大きな意義があったと感じています。 社会に出ればどんな仕事でも、プライベートでも、正解のないことばかりが待っています。その中で、より良い選択をしていく為には「考える、検証する、提案する」というプロセスが必要です。その土台を築くことができたのは、厳しくも愛に満ちた学び舎のお陰だと確信しています。理科大・物理学科で将来の礎を築き、皆さんの持っている可能性をどんどん広げていってください。(2018−10 掲載)

大学・公的研究機関

大学・公的研究機関
渡部昌平(芝浦工業大学准教授)

東京理科大学の前身が東京物理学講習所(のちに東京物理学校に改称)であるように、理科大の物理学科は理科大の中でも伝統と実績がある学科です。そんなことを背景に、物理学を学ぶならと思い東京理科大学の物理学科に進学しました。その後、縁もあり2014年度から2021年度まで教員として関わる機会にも恵まれました。物理学科では、自然法則を理解するための概念とそれを記述するための数学を学び、また物理学実験で自然現象の深淵さを体感しながら、それをどう理解するかの練習を積みます。現在、私は芝浦工業大学の工学部情報工学科で量子コンピュータ・量子情報工学という物理学と情報工学の境界領域的なところにいます。(芝浦工業大学の情報工学科はAI・機械学習・仮想/拡張現実(VR/AR)・社会ネットワーク・自然言語処理・計算機アーキテクチャなどに加えて量子コンピュータも学べる、時代のいまと未来を切り取るような学科です。)私の興味と研究の対象がいわゆる自然現象から情報工学にも広がった感覚ですが、自然現象を記述・理解するために母校・物理学科で学んだ基礎は十二分に役立っています。(2022−06 掲載)

教員・公務員

教員・公務員
中村仁美(埼玉県公立中学校 教諭)

田園と住宅地に囲まれた静かな朝。「おはようございます!」生徒達が出す爽やかな挨拶に対し笑顔で挨拶を返しながら、私の朝は始まります。私は理科大の物理学科の学部生として4年間学ばせていただいた後、現在、公立中学校の理科の教員として奮闘しております。現在の教育現場では、様々な価値観や激しい変化の中で「何が1番生徒のためになるか」を考え取捨選択を行なっています。正直、多忙で気持ちが折れそうになるときもありますが、大学時代での経験や学びが今の私を支えてくれています。大学でのカリキュラムや熱意ある先生方の教えの中で、知識を体験的・体系的に学ぶことの楽しさや、ある現象に対して自己や他者との対話を通じ多角的に物事を考察していくことの楽しさを学ばせていただきました。今では、上記のような楽しさを生徒に実感してもらえるような仕掛けとして、対話的活動やICT機器を授業で取り入れています。また、学生時代に培うことができた、粘り強く取り組む姿勢は教科指導だけでなく多くの場面で役立っています。私は今、「科学の楽しさ」を未来ある子どもたちに伝えることを仕事にしていますが、それは私自身が東京理科大で「科学の楽しさ」を実感したからに他なりません。皆さんもぜひ、科学を追求していくことの楽しさにどっぷり浸かっていただけたらと思います。(2022−06 掲載)